「Xperia 1 II」レビュー 映像・音楽・ゲームの体験に満足も、カメラはユーザーを選ぶ?(3/5 ページ)
Xperia初の5Gモデル「Xperia 1 II」がauとドコモから発売された。21:9の画面サイズを持つ本機だが、その使い勝手はどのように進化したのだろうか。また気になるカメラ機能についても詳しく解説する。
ゲームのヘビーユーザーにうれしい機能を追加
アプリや操作性だが、大きな変更点として日本語入力の「POBox Plus」がGoogleの「Gboard」に、写真管理の「アルバム」も「Google フォト」を利用する形になった。
写真管理については、機能面でもバックアップの面でもフォトが便利なのは確か。だが、文字入力についてはGboardも多機能とはいえ、POBox Plusの予測変換や設定の分かりやすさが失われるのは残念なところだ。2001年のau C406S以来長らくソニー系列の携帯電話、スマホで使われてきたPOBox系列の予測入力が途絶えるのも名残惜しさがある。
一方で、ゲーミング機能「Game enhancer」についてはこだわりが見られる。Xperia 1以降、ようやくゲーミング機能が充実してきたが、ゲーム以外の操作による誤操作を防ぐ「コンペティションセット」や、タッチエリアの一部無効化、スクリーンショットの連写や、動画録画の実況向けボイスチェンジャー機能など、攻めた機能を数多く搭載している。
中でもコアゲーマーにとってうれしいのは「HSパワーコントロール」だ。これは、高負荷なゲームアプリを動作中に、充電器から供給される電力をXperia 1 IIのCPUやGPUなど、システムの動作だけに利用するモードだ。バッテリーをあえて充電しないことで、バッテリーに負荷を与えず発熱を防げる。
この機能が特に便利なのは、バトルロイヤル系のゲームだろう。1プレイが長いだけに、発熱を抑えられるのはうれしい。Xperia 1 IIの大画面もあいまって快適にプレイできる。MMORPGも同様だ。また、音楽リズムゲームの高負荷な3Dグラフィックを連続して表示する用途や、動画プレーヤーをゲームアプリとして登録した上で連続での動画再生に使うといった用途も考えられる。
処理性能だが、プロセッサにQualcommの「Snapdragon 865」を搭載、メインメモリは8GBだ。Xperia 1など前世代のSnapdragon 855搭載モデルと比べて、1.3~1.4倍程度性能が向上しており、処理性能不足を感じることはない。
ストレージ容量は128GBでmicroSDスロットも搭載。容量面で不便を感じることはないだろう。バッテリー容量は4000mAhで、12時間ほど持ち歩いてヘビーに利用したが、バッテリー残量は40%ほど残った。スタミナは良好な部類といえる。
5Gの利用機会は少ないが、通信量無制限のプランが魅力
2020年の春夏モデルは5G対応が最大の特徴とされるが、現時点で各社とも5Gのエリアは非常に狭い。利用する無線周波数帯の高さや他の無線システムとの共用問題もあってか、現時点では多くが点でのエリア展開となっている。今は「5G=通信量が無制限のプランを契約するためのパスポート」と考えた方がいいだろう。
ちなみに、今回au版のXperia 1 IIを試用しており、auがエリアマップに載せている5G対応の渋谷の神南エリアと横浜の関内エリアで接続を試したが、実際には5Gに接続できなかった。一瞬だけ画面のアンテナ、ピクト表記が5Gに切り替わることもあったが、通信を開始すると4Gに戻ってしまう。結局5Gで安定して通信できたのは、渋谷モディ内のau SHIBUYA MODIにある、auの5Gデモブース周辺のみだった。
これには幾つか理由がある。まず、auのXperia 1 IIが5Gで対応する周波数バンドは、Sub6(3.7GHz帯)のn77とn78だ。いわゆるミリ波(28GHz帯)のn275には対応していない。このため、ミリ波しか対応していない5G基地局では5Gによる通信を利用できない。
さらに、auのXperia 1 IIは、Sub6(3.7GHz帯)のn77とn78のうち、n77は将来のソフトウェアアップデートによる対応となっている。つまり、現在auのXperia 1 IIで利用できるのは5Gエリアのうち、n78に対応した基地局のみとみられる。
エリアマップには5G対応のスポットが描かれているが、どの周波数帯・バンドの5Gを利用できるかは記載されていないので、実際にXperia 1 IIで5Gに接続できるかの参考にならない。これは、ドコモの場合も同様で、5G対応エリアだがSub6非対応なのでXperia 1 IIで5Gを体験できない場合はある。Xperia 1 IIを購入して5Gを体験するには、エリアマップだけでなくそのエリアが対応している周波数の情報収集は必須となる。
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