身近な出来事で振り返る2020年のモバイルデータ通信:5分で知るモバイルデータ通信活用術(1/2 ページ)
2020年が終わって半月が経過しました。筆者の身近な出来事を交えつつ、2020年のモバイル通信におけるトピックを2つ振り返ります。
2021年が始まりました。今年も「5分でわかるモバイルデータ通信活用術」をよろしくお願い致します。
年が明けて既に半月が経過してしまいましたが、2020年にあったモバイルデータ通信関連の出来事を、筆者の身の回りの出来事と共に振り返ってみます。
緊急事態宣言下の引っ越しで役立った「Rakuten UN-LIMIT」
2020年3月、楽天モバイルがキャリアサービスの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」を発表しました。3月3日より予約を受け付け、4月8日からサービスを開始しました。
同社のキャリアサービスは当初、2019年10月から始まる予定でした。しかし、開始直前の同年9月に人数を制限した「無料サポータープログラム」を発表し、有償サービスの提供を事実上延期しています。
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契約1名義当たり1回線のみという制限はあるものの、Rakuten UN-LIMITも先着300万契約については契約から1年間は無料で提供されています。本格的な商用サービスというよりは、「大規模化した無料サポータープログラム」を続けているような感じです。
Rakuten UN-LIMITのサービス開始前日、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県を対象に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が発出されました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた措置で、4月16日には全都道府県に宣言の対象範囲が広がりました。
そのさなか、筆者は引っ越しをすることになりました。電気、ガス、水道といったライフラインの手続きや引っ越し業者の手配はおおむね遅滞なくできたのですが、光インターネット回線については手続きの混雑から引っ越しまでに開通できず、約4週間ほど何らかの方法でしのぐ必要が生じました。
そんな時、多いに役に立ったのが、スタートしたばかりのRakuten UN-LIMIT回線でした。自社ネットワークでつながっている間は「容量無制限」であることがウリで、幸いにも転居先が自社ネットワークエリア内で固定回線代わりに使えたのです。宅内の設置場所に多少の工夫は必要でしたが、光インターネット回線の代用として多いに助けられました。
Rakuten UN-LIMITにおける自社回線の「容量無制限」は、あくまでも月間の容量に制限がないという意味で、当日の通信量が10GBを超えると日付が変わるまで通信速度が制限されます。筆者の調べた限りにおいて、制限時の最大通信速度は4月頃までは1Mbps、それ以降は3Mbpsとなっています。
緊急事態宣言中は外出が難しく、必然的に自宅で過ごす時間が長くなりました。子どもが家で「Amazon Prime Video」や「YouTube」などで動画を見る機会も増えました。そうなると度々、1日当たりの通信量が10GBを超えることも出てきました。
容量超過時の速度制限が1Mbpsだった時は、速度制限が掛かると動画の視聴が止まったり、複数のデバイスから同時にインターネットを利用すると速度低下が厳しかったりと、実用面で問題が生じました。しかし制限が3Mbpsに緩和された後は、不便を覚えることがほとんどなくなりました。
容量超過時の速度が向上したことは、光インターネット回線代わりに使っていた筆者にとって非常に助かりました。ただ、1日当たりの通信量による速度制限は、楽天モバイルから特にアナウンスされているものではありません。
auへのローミングが終了し始めて問題も
新規参入してゼロからインフラを整備しなければならなかったこともあり、楽天モバイルはau(KDDIと沖縄セルラー電話)の4G LTEネットワークをローミングという形で利用しています。対象エリアは「東京23区、名古屋市、大阪市および局所的なトラフィック混雑エリアを除く全国」と「地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設や観光名所等の一部」でした。
しかし10月、KDDIは東京都、大阪府、奈良県の一部において順次ローミングサービスを終了することを明らかにしました。楽天モバイルの自社ネットワークの整備が「進んだ」ことを受けた措置です。
この発表後、Twitterを始めとするSNSでは「楽天モバイルがつながらない」「圏外になった」という声をちらほら見かけるようになりました。とりわけ、東京都の特別区外のユーザーからの「申告」は多かったように思います。
この影響は、「地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設や観光名所等の一部」にも出ているようです。筆者が試した限りの話ですが、新宿駅の地下街において楽天モバイルが「圏外」となる場所が出てきたのです。
楽天モバイルは地下鉄や地下街などのエリア化も進めています。屋外エリアも同様です。しかし、ローミングサービスの終了を検討する基準を「人口カバー率」としているせいか、基地局の整備が間に合っていない場所でも“機械的に”ローミングサービスが終了してしまう(=圏内だった場所が圏外になってしまう)事例が発生しています。
事前告知を含めて、楽天モバイルはもう少しうまくやってほしい所です……。
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