3キャリアの値下げでMVNOに大打撃の恐れ “いびつな競争環境”は解消できるか?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
大手3キャリアの料金値下げは、MVNOの経営に大きな打撃を与える可能性がある。20GB前後の中容量ではahamoやpovo、SoftBank on LINEより料金水準が高くなっている上に、MVNOが得意とする小容量プランも、UQ mobileやY!mobileの値下げにより、価格優位性がなくなりつつある。これに対し、MVNO側は速やかな解決策を求めている。
玉突き現象でMVNOが得意とする小容量プランもピンチに?
とはいえ、MVNOの主戦場は3GB前後の小容量プランだ。仮に大容量プランで勝負にならなくても、3GB前後の料金プランで安さを打ち出せていれば、データ通信を節約しながら使うユーザーには支持されるはずだ。ところが、オンライン専用の20GBプランに合わせる形で、KDDIはUQ mobileの、ソフトバンクはY!mobileの料金を値下げした。最もデータ容量の少ない3GBプランは、UQ mobileが1480円、Y!mobileが1980円だ。
Y!mobileも固定回線とのセット割や家族割引を組み合わせると1480円まで料金は下がるが、1回線目から正価で1480円を打ち出したUQ mobileの新料金はインパクトが大きい。料金水準で言えば、MVNOと同じか、それ以上に安いからだ。先に挙げた例で見ると、IIJmioは3GBの「ミニマムスタートプラン」が1600円、mineoはau回線の3GBプランが1510円で、いずれもY!mobileの「シンプルS」よりは安いものの、UQ mobileより割高になる。
しかも、UQ mobileとY!mobileは、大手キャリアが直接運営するMNO。MVNOとは異なり、帯域を借りているわけではないため、その幅がボトルネックになることもない。ありていに言えば、ユーザーが一斉に休憩を取って通信するお昼休みや、通勤、通学の時間帯に速度が低下しづらい。接続する帯域がボトルネックにならないため、メインブランドのauやソフトバンクと同条件であれば、速度も同じになる。MVNOの多くが苦しむ、帯域不足に悩まされる必要がないのは大きなアドバンテージだ。通信品質が高い方が料金が安いとなれば、あえてMVNOを契約する動機はなくなってしまう。
冒頭で挙げたように、MVNO委員会が要望書を提出したのはそのためだ。詳細は別の記事に譲るが、MVNO委員会は、接続料の見直しや音声通話の卸料金値下げを、速やかに実施することを要求している。接続料の値下げは、アクション・プランにも規定されているが、3年間で5割減を目指している。ただ、3年間もかかっていては、その間に経営が立ち行かなくなるMVNOが次々と出てきてしまう。通話料の卸料金も30秒20円のまま。ドコモが提案していた、プレフィックスを交換機で付与する機能も、現時点では実現していない。こうした対応を早期に行うよう、アクション・プランを前倒しにしてほしいというのがMVNOの要望だ。
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