子どもが持ってうれしくなるモノを Hameeがキッズ向けスマホを開発する理由(3/3 ページ)
見守り機能を備えた子ども向けのケータイやスマホは、SIMロックフリースマホやMVNOではまだ珍しい。そんな中、「iFace」などのスマートフォン向けケースでおなじみのHameeが、小学生をターゲットにしたスマートフォンを開発。OSにAndroid 9 Go Editionを採用していたり、組み込み型のチップSIMを採用していたりと、技術的にもチャレンジングな取り組みが多い。
小学校3~4年生ぐらいが特に使うのでは
―― 小学生といっても、1年生と6年生ではだいぶ違います。どのへんをメインのターゲットにしているのでしょうか。
河合氏 対象年齢は6歳以上と記載しています。ご家庭によって異なると思いますが、大体小学校の低学年ぐらいからを想定しています。今は2歳、3歳のときから親のスマートフォンやタブレットを借りて使うこともあって、慣れがあります。小学校に入った瞬間にキッズケータイを渡されると、「あれ?」となってしまう。それが持たない原因にもなっています。うちの息子も小学生ですが、どこにいるのかと思って電話すると、携帯電話が家の中に置きっぱなしということがよくあります。子どもにとって、親から所在確認の連絡が来るだけの、面倒な通信機になってしまうんですね。こういったところに、われわれのような訴求があってもいいと考えています。
もっと自由にして、親のおさがりのスマートフォンでもいいのではという意見もあると思いますが、やはり子どもの手になじむサイズ感は必要ですし、おさがりといっても高いスマートフォンは10万以上するので、壊されても困ります。防犯ブザーも普通のスマートフォンにはありません。厳密に言うと、SOS機能自体はありますが、引っ張り式で鳴らせるものはありません。
藤澤氏 MMD研究所の調査などを見ていると、だいたい小学校4年生ぐらいからスマートフォンの保有率が上がっていき、中学生で7割、8割になります。恐らく、小学校3年、4年生ぐらいが一番使うことになるのではないでしょうか。
―― 発表後に、モニターを募集していました。こちらはいかがですか。
河合氏 1000人には、既に選出のご連絡をしていて、準備ができ次第お渡しする予定です。SNSでしか告知は出していませんが、応募は数千人規模でありました。モニターは、フォロワーが多いなどではなく、1つ1つ内容を見ていき、自分たちのターゲットに近い人を選ばせていただきました。
―― 販路は現状、サイトだけでしょうか。
藤澤氏 今は、HameeのECだけですね。
河合氏 専用の販売サイトを用意しました。そこからの購入が最初のステップです。それ以外のルートも、準備ができていけば徐々に広げていきます。これまで培ってきた、家電量販店などの販路も最終的にはあるかもしれません。
取材を終えて:市場の隙間にフィットできるか
トーンモバイルなど、子ども向けをうたうMVNOはあるものの、大手キャリア以外の選択肢はまだまだ少ない。iPhoneやAndroidで親側が管理する手はあるが、それ専用に作られた端末でないと、子どもに操作させるには難易度が少々高くなる。ハードウェアのデザインからソフトウェア、サービスまで作り込んだHamic POCKETは、そのような市場の隙間にうまくフィットしそうな端末だと感じた。Go EditionのAndroidを採用していたり、チップSIMを内蔵していたりと、技術的にも見どころが多い。成功例を作れるか、発売後の動向にも注目しておきたい。
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