Honorの5Gスマートフォン「V40」が登場 “脱・Huawei化”のメリットと課題:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
Honorの新しいスマートフォン「V40」は、HuaweiのサブブランドだったHonorが独立してから登場する最初の製品。プロセッサや外部メモリなど、Huaweiのサブブランド時代とは異なる仕様が多い。販路も独立し、どれだけ認知を拡大できるかが問われている。
2021年1月22日、Honor(オナー)から「V40」が発表された。このV40はHuaweiのサブブランドだったHonorが独立してから登場する最初の製品となる。Huaweiの別会社となったHonorは今後、Huaweiとは全く異なる端末開発戦略を進め、グローバル展開も本格化させる予定だ。
MediaTekのプロセッサを搭載する「V40」
V40のスペックはプロセッサがMediaTekのDimensity 1000+、6.72型(1236×2676ピクセル)、リフレッシュレート120Hzのディスプレイ、カメラは5000万画素+800万画素(超広角)+200万画素(マクロ)、フロントは1600万画素。4000mAhバッテリーは66Wの急速充電に対応。メモリ8GB+ストレージ128GBモデルで3599元(約5万8000円)となる。
Honorのスマートフォンは中国では毎月のように新製品が発売されていた。V40の前のモデルは2020年4月発表の「Honor 30」だ。Honor 30は「30」「30 Pro」「30 Pro+」と3機種ものシリーズが展開された。今回のHonor 40もHuaweiのサブブランドのままなら、「40」「40 Pro」「40 Pro+」と3機種が発売されたのだろう。プロセッサはHuawei最新モデルのKirin 9000が搭載されていたはずだ。
Honorの独立が決まったのは2020年12月。もちろん、それ以前からHuawei内部でHonorの今後の展開について検討は行われていただろう。Huaweiのスマートフォンは基本的にハイエンドだけではなくミッドレンジ以下のモデルもKirinを搭載しているが、2020年に入ってからはMediaTekの低価格5Gプロセッサを搭載したモデルも投入されてきた。Honor V40はハイエンドモデルだが、いきなりQualcommのプロセッサを購入し、それを最適化して搭載することは難しい。Dimensity 1000+の搭載は独立後のフラグシップモデルとしては妥当なところだろう。
Huaweiスマホとは異なるデザインに
Honor V40の本体デザインは正面から見るとHuaweiの「Mate 40 Pro」シリーズによく似ている。しかし背面はカメラ周りのデザインをだいぶ変えており、むしろVivoのツアイスカメラ搭載「X60」シリーズに似ている。各社のスマートフォンの背面デザインは似通ったものが多いが、Honor V40は外観面で早くも「脱・Huawei化」を進めているのだ。
カメラ以外にもHuawei離れが見られる。Honor V40は外部メモリスロットを搭載していない。従来のHonorの上位モデルはHuaweiのメモリカード規格、NMカードに対応していた。NMカードはnanoSIMと同じサイズなので、nanoSIMトレイにそのまま装着できる。恐らくHonor V40も当初はNMカード対応で開発が進められていただろう。
しかし独立メーカーとなることで、基板側にNMカード読み取りの接点をなくすことで、急きょNMカード非対応として発売したと考えられる。Honor V40以降のハイエンドモデルがmicroSD対応になるのか、外部メモリスロットを廃止にするのか、動向が気になるところだ。
Huaweiから独立したことでGoogleサービスを搭載可能に
Honor 40はグローバル向けには「View 40」として発売される。日本ではHonorの製品はここ数年見られなくなっていたが、海外では欧州や東南アジア、中東などで販売されていた。しかしここ1年は目立った新製品はなく、Honorは中国市場にフォーカスしていた。これはHonorブランドが海外では弱いこともあるが、Huawei傘下の製品であるためGoogleサービスを搭載できず、海外市場で販売が難しかったからだろう。
Huaweiから独立したことでHonorのこれからのスマートフォンにはGoogleサービスを搭載することができる。またQualcommとの商談も進めており、将来モデルにはSnapdragonの搭載もありそうだ。2021年後半くらいからは、海外市場でHonorのスマートフォンを見かける機会が増えるかもしれない。HonorはスマートウォッチやノートPCも展開しているが、今後AIoT製品も増やすことで、海外市場展開も強化していくだろう。
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