巣ごもり需要で150%成長した「dTV」 5G時代の戦略とは? NTTドコモに聞く(2/4 ページ)
コロナ禍の巣ごもり需要で動画配信サービスの成長が目立つ。NTTドコモの「dTV」についても、2020年12月には20世紀スタジオとディズニー配給の洋画200タイトル、海外ドラマ1800エピソードが追加された。dTVを統括するNTTドコモ コンテンツビジネス部長の田中伸明氏に、今後の戦略を聞いた。
自分が見たいものをどんどんレコメンドしていく世界を作りたい
―― 視聴履歴に基づいたレコメンド機能はあるんですか?
田中氏 レコメンドのベースは持っていますが、具体的なことを語るほどは、まだ準備ができていないところがあります。ジャンルや視聴作品からレコメンドはしていますので、さらに精度を上げていきたいと思っています。
―― 複数の映像サービスを契約しているユーザーは、横串で嗜好を把握して各サービスで反映するということもできるようになっているのでしょうか。
田中氏 パートナーさんのサービスについて、データをいただく状態にはしていませんが、弊社では電子書籍サービスもやっていて、「dマガジン」は網羅的でかなり広い属性が分かります。ドコモ全体として体系的に、ユーザーさんにより刺さりやすいサービスを考えていきたい。そういう取り組みはやっています。
―― アプリのUI(ユーザーインタフェース)や使い勝手で工夫しているところは?
田中氏 もっとよくしたいと思っています。レコメンド機能も見せ方も、もう少し工夫できるところがある。地道にチューニングしていける部分を頑張りながら、一方でUIを大きく変更させることもあるかなと思っています。あと、どうしてもスマホだけでUIを語ってしまうときがあるんですが、どういう使い方をされているかを把握しながら、どのデバイスでも分かりやすく使いやすく、自分が見たいものがどんどんレコメンドされていく世界を作っていきたいと思います。
月額550円(税込み)の価格は強み
―― 今は見放題が月額税込み550円で、競合サービスに比べてかなり安いです。なぜこの価格を実現、維持できているのでしょうか。
田中氏 最初に事業を組む際に、どう想定するかに尽きると思います。コストをうまくセーブしながら、どれくらいを取りに行くか設計する。いろいろな動画配信サービスが値上げをしていますが、dTVはこの値段が1つの強みだと思っていますので、この価格でどこまで攻めていけるかを考えたいですね。
―― 値上げの予定は?
田中氏 競争なので将来は分かりませんが、今、この瞬間には考えていません。値段が強みですから。
―― この価格は、事業として成り立つ前提でキープしているわけですよね?
田中氏 そうですね。あまり詳しくお話できませんが、事業ですので、基本的にその中でプラスになることを考えています。
―― 競合に比べると、半額から4分の1くらいの値段になっていて、非常に競争力があると思います。ユーザーも値段を理由に選んでいる人が多いのでしょうか。
田中氏 1つの要因にはなっていると思います。以前に比べて、複数の動画配信サービスを利用しているユーザーさんが増えているんじゃないかと思います。2つ、3つ選ぶ際に、価格はアドバンテージになると思っています。
高解像度の作品も増やす
―― 5Gでは、より画質が上がってくると思います。解像度が高いと料金が高くなる料金設定をしているサービスもありますが、dTVはそういった区別で価格を変えてはいません。今後、そういった区別をする可能性はありませんか?
田中氏 デフォルトでは、ユーザーさんが画質を選択できるようにしています。他社のサービスだと、回線は自分たちの問題じゃないと線引きできますが、われわれの場合は、ドコモの回線が悪いから見られないなど、いろんなことがドコモのせいだと言われてしまうことが多い。ですから、そこは少し気を遣いながらサービスを提供しています。
値段設定や会員の集め方について、他社さんのやり方はどんどん変化してきていると思います。われわれは4Kだとプラスの料金をもらうということはやっていませんが、他社のやり方が普通になってくると、作品を提供する側のステークホルダーさんたちが、その形でやってほしいと言い出す可能性はあるでしょう。あれだけの数の映像を、自社で全てをコントロールしているわけではないので、ステークホルダーさんも含めて、どのように提供していくかを決めていく必要があります。今後、いろいろな変化は起きるだろうと思っています。
―― dTVでも4Kコンテンツは一部配信されています。大容量コンテンツは今後、さらに増えますか?
田中氏 そうですね。テレビも解像度が上がっていますし、そこできれいに映るものを提供していきたい。スマホのカメラも解像度が上がっているので、4Kも含めた高解像度の作品はできれば増やしたいと思っています。予算とコンテンツの中身を考えたいですね。
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