「dビデオ」から「dTV」へ――リニューアルで語られた3つのポイント:ドコモ以外でも使える
「dビデオ」から「dTV」へのリニューアルを発表したドコモとエイベックス。UIの刷新や専用STBの発表、そして独自コンテンツへの取り組みなど、3つのポイントでサービスを強化する。
NTTドコモとエイベックス通信放送は4月2日、動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」を4月22日にリニューアルし、「dTV」へ名称変更することを発表した。同日に開催された発表会イベントでは、サービスを充実させるためのユーザーインタフェース(UI)やデバイス、そして新しいコンテンツの展開についてお披露目された。
イベントの冒頭、エイベックス通信放送の代表取締役社長である千葉龍平氏が、現在の動画配信サービスは「何を見ればいいのか、どうやって操作すればいいのかなど、ITに関する知識のないユーザーには(楽しむのが)難しい――という声を多く聞く」と現状を指摘。千葉氏はそうした状況を“砂漠の街”に例えており、「砂漠の街に彩りと驚きを」というスローガンの下、1年前からdビデオのリニューアルに向けた調査や研究開発を進めてきたと振り返った。
今回のリニューアルに関する具体的な内容については、エイベックス通信放送 取締役である村本理恵子氏から説明があった。村本氏は2009年に「BeeTV」を開始した際、“Premium”なコンテンツを、価格面などで負担が少ない“Painless”で、それぞれの視聴者に合った“Personal”なコンテンツを提供するというコンセプトを掲げていたと明かす。だが当時は技術的な限界もあり、特にPersonalな部分に関しては課題が残ったという。
そうした課題を踏まえたdTVには、3つの特徴を持たせることになった。1つ目の特徴が新しいUIだ。dTVにはジャンル別に分類された12のチャンネルに加え、視聴者の年齢や性別、さらに視聴した作品の履歴などから、おすすめの作品を自動的にレコメンドしてくれる「おすすめチャンネル」を用意。さらに、それぞれのチャンネルを切り替えると予告編の映像が自動的に再生され、見たい作品を選びやすくする「ザッピングUI」を採用することで、より自分好みの作品に出会いやすくしている。
2つ目の特徴はデバイスだ。dTVは従来通りスマートフォンやタブレット、PCで視聴できるが、4月22日のリニューアルに合わせて新たに専用のセットトップボックス(STB)「dTVターミナル」(dTV 01)が提供され、テレビでの視聴がしやすくなるとのこと。dTVターミナルはリモコンでの操作となるが、ザッピングUIに対応しており、さらに面倒な設定をすることなくテレビとインターネット回線に接続するだけで利用できるなど、手軽さを重視しているのが大きなポイントとなるようだ。
またテレビでの視聴に関しては、今後テレビメーカー各社と連携し、対応を強化していくとした。将来的には、dTVに標準対応したテレビが登場する可能性も考えられる。
そして3つ目の特徴が、dTV独自のプレミアムなコンテンツの提供。村本氏は「いくらインタフェースがよくてもコンテンツが進化しないといけない」と話し、dTV独自のコンテンツ充実を図っていく方針を示した。
中でも注力しているのは、BeeTV時代から継続しているオリジナルコンテンツへの取り組み。村本氏はいくつかのテーマを挙げ、オリジナル作品を強化することを発表している。1つは“グローバル”をテーマとしたもので、「ニュー・シネマ・パラダイス」などで知られるイタリアのジョゼッペ・トルナトーレ氏、海外でも活躍する紀里谷和明氏などの映画監督を起用し、日本人俳優やハリウッド俳優などとタッグを組んだ作品を配信すると表明した。
そしてもう1つは、“ニューエイジ”をテーマとした、若い監督らによる作品だ。具体的には、劇作家の三浦大輔氏による舞台「裏切りの街」の映像化作品や、落合賢氏が監督を務め、台湾人歌手のリン・ユーチュン氏が主演する「どす恋ミュージカル」など。ほかにもdTVでは、エイベックスと講談社、集英社、小学館らが共同で設立した「アニメタイムズ」によるアニメ作品や、米FOXの海外ドラマ作品、そして今夏放映の映画「進撃の巨人」と連動したオリジナルドラマなどを配信し、コンテンツの充実を図っていくとしている。
最後に村本氏からは、dTVの今後の販売戦略についても説明があった。「dビデオは2014年からキャリアフリーに対応しているが、意外と知られておらず、現在もドコモの回線契約者しか使えないサービスと思われている」(村本氏)ため、今後ドコモショップ以外での販売拡大を図っていくとのこと。「ユーザーとの接点をどう持ち、どう入会してもらえるかが大きな課題。販売拠点を拡大していきたい」と村本氏は話しており、現在はキャリアショップ中心のリアルな販売チャネルを、今後開拓していく方針を示した。
その上で村本氏は、「もっと多くの人にdTVを使ってもらい、(動画配信サービスで)日本最大の会員数を目指したい。個人的な思いとしては、1000万契約を目指したい」と述べ、リニューアルしたdTVに大きな期待を寄せていた。
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