ソフトバンクの5G人口カバー率は10月末で80%に 「パケ止まり」対策も
2022年春までに5Gエリアの人口カバー率が90%に達するようエリア拡大を進めている。2021年10月末までに人口カバー率80%、基地局数2万局を達成する予定だという。5Gエリアの拡張期に起きている「パケ止まり」対策も行う。
ソフトバンクが9月14日、5Gサービスのエリア展開について発表した。同社は2022年春までに5Gエリアの人口カバー率が90%に達するようエリア拡大を進めている。9月13日時点で5Gの人口カバー率は59%超、基地局数は1万4000局超に到達しており、2021年10月末までに人口カバー率80%、基地局数2万局を達成する予定だという。
5Gのエリアが急激に広まっている要因は、LTEで使用している既存20万箇所以上の基地局を活用していることと、KDDIと共同で5G基地局を整備する「5G JAPAN」の取り組みによるところが大きいという。あわせて、スポーツ競技場やショッピングモール、百貨店、テーマパーク、駅や空港など、人が多く集まる場所の5Gエリア化も進めていく。
2021年8月の5Gトラフィックは、2020年8月と比べて約200倍増加したという。一方、5Gエリアの拡張期に起きている「パケ止まり」という事象が問題視されている。パケ止まりでは、5G基地局から離れた場所や5Gの電波が弱いエリアで5G通信を優先させた場合、通信しにくくなる。そこで、電波状況に応じて5GとLTEを最適に組み合わせることで、パケ止まりを抑制するという。具体的には下りの通信には5Gを、上りの通信にはLTEを活用することで、エリアの端でも通信が途絶えないようにする。
こうした対策を施した上で通信ログのビッグデータを分析したところ、5Gの通信速度はLTEの3倍超となり、下り100Mbpsを超える速度は5Gの方がはるかに多かった。また、多少電波が悪いところでも上りの速度は90%以上が5Mbpsを超えており、5Mbps未満が50%前後を占める他社よりも快適であることも分かったという。
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