「ワンセグ携帯の減少」と「NHK受信料」の関係を考える(2/2 ページ)
ここ最近、「ワンセグ」機能を搭載したスマートフォンがなくなりつつある。2019年に、ワンセグ携帯もNHK受信料の支払い義務が発生することが確定した。この件とワンセグ携帯の減少は関係あるのだろうか。
ワンセグ携帯を求める声は年々減っている
さて、ワンセグのNHK受信料の支払い義務が確定した2019年の翌2020年から、ワンセグ搭載スマートフォンが急激に減ったが、NHK受信料と関係があるのか。大手3キャリアに理由を尋ねた。
―― ワンセグを搭載した携帯が2020年以降、ほぼなくなっている理由を教えてください。
NTTドコモ 動画サイト・動画配信サービスの充実・普及に伴い、多くのお客さまは他手段でニーズが満たされている状態だと認識しておりますが、災害時など有事の際の情報取得の手段である、と考えております。
KDDI ワンセグ/フルセグ機能については、メーカー様ごとに搭載要否を判断いただいています。
ソフトバンク 昨今、通信速度の向上によりスマホでも快適に動画が視聴できるようになり、また多様な動画サービスが存在する中、テレビ機能のニーズ自体も減少している状況です。各メーカー様とはテレビ機能搭載による端末価格への影響など、総合的な協議を踏まえ、テレビ機能については非搭載となっています。
―― 2019年にワンセグ携帯でもNHK受信料の支払い義務があることが最高裁で決定しましたが、ワンセグ携帯の減少は、そのことが影響しているのでしょうか。
NTTドコモ 影響していないと考えております。
―― ワンセグ携帯を求める声は、年々減っているのか、あるいは搭載を求める声は一定数あるのでしょうか。
NTTドコモ 年々減っている状況です。
KDDI 多様な動画サービスが存在する市場環境のため、ニーズ自体も減少している状況です。
3社とも、ワンセグ携帯が減っている大きな理由は「ニーズが減っているから」というスタンス。ただ、NHK受信料の支払い義務が確定した翌年から搭載機種が減っているというのは、偶然とは思えない。テレビを持っていないユーザーが購入したスマートフォンがワンセグを搭載している場合、スマホを買ったことでNHK受信料の支払い義務が発生し、クレームにつながる――というケースは十分想定される。
ワンセグを搭載したことで、ユーザーが不利益を被るようなことになったら本末転倒だ。こうした事態を防ぐべく、キャリアやメーカーが積極的にはワンセグを搭載しないスタンスに変更したとも考えられる。もちろんNHK受信料だけがワンセグ搭載を見送る要因ではないだろうが、要因の1つにはなり得る。KDDIとソフトバンクがNHK受信料の件について直接言及しなかったのは、そうした背景があったからだと勘ぐりたくなってしまう。
ともあれ、今後ワンセグ携帯は希少な存在になり、動画配信が主流になるトレンドは続きそうだ。
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