「有機EL」のELって何? 「OLED」との違いは?:モバイルIT用語辞典
「iPhone 13」や「Galaxy Z Fold3 5G」などにも搭載される「有機EL」ディスプレイ。この有機ELはどんな仕組みで映像を映しているのか。あわせて話されやすい「OLED」とは何が違うのか?
スマホやPCなど、さまざまな電子機器の映像を映すディスプレイの中でも、近年映像表現を強化するためなどで搭載される「有機EL」というディスプレイ。「OLED」とも呼ばれることがあるが、どんな仕組みで映像を表示しているのか。
有機ELの「EL」は「Electro-Luminescence」(電気発光)の略で、電圧をかけると有機物が発光する現象を指している。「OLED」は「Organic Light Emitting Diode」、有機発光ダイオードと呼べ、有機ELを利用した発光ダイオードであり、発光するための部品に有機材料を用いている。有機ELは有機物の構造によって赤、青、緑などの色に発光する。
まず通常の液晶ディスプレイは、ディスプレイの裏側から光を当て、電圧によって並び方が変わる分子が光を通す/通さないを選び、カラーフィルターを通すことで色を表現している。バックライト、液晶、カラーフィルターという3層を通して映像を表示している。
これに対してOLEDは発光部品そのものが色を持っており、電圧をかけると2つの電極からプラス極の「正孔」(せいこう)とマイナス極の電子が発生する。これらが発光層で再結合すると活性化し、元の状態に戻る際に余剰エネルギーが光として放出される。
通常の液晶ディスプレイに対して、OLEDは高画質かつ高リフレッシュレート、広視野角で製造でき、高い画質の映像を滑らかに表示できる。さらに消費電力が少なく、バックライトが不要のため薄型に製造できる利点がある。
また、光をさえぎって黒を表現する液晶ディスプレイに対してOLEDは発光させないことで黒を表現する。このため、黒が引き締まって見え、コントラスト比が高い映像表現が可能となっている。
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