コラム

熱いスマホを冷やすのに「冷風」はアリ?

涼しい日も増えてきましたが、昼間はまだ暑い日が続きます。熱くなったスマホを冷やす際に、クーラーや冷房運転のエアコンの冷気を当てるのは良いのでしょうか……?

 いよいよ8月も終わりに近づき、地域によってはこの週末は過ごしやすい気温となりました。とはいえ、天気予報を見る限り、暑い日はまだ続きそうな雰囲気もあります。

 気温が高くなると、スマートフォン(特にハイエンドスマートフォン)も発熱しやすくなります。発熱がある程度のしきい値に達すると、スマホは 内部の部品(プロセッサ、メモリ、バッテリーなど)を保護する観点から機能制限を掛けます。要するに全力を出せなくなるのです。


iPhoneの場合、本体温度が高くなると緊急通報以外の全機能を利用停止にしてしまいます(Appleサポートサイトより)

 この機能制限を解除するには、スマホが冷めればいいわけですが、最近の記事でも述べた通り、早く冷やそうとすることはスマホの故障の原因となりうる上、故障した場合に修理を拒否されたり修理できても高額な修理代金を請求されたりすることもあります。

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 凍った保冷剤もダメ、流水もダメとなると、何ならいいんだよ――そんな声も聞こえてきそうですが、「じゃあ冷たい風、エアコン(クーラー)の風もダメなの?」という疑問が湧いてきます。果たして、エアコンやクーラーの風もダメなのでしょうか……?


エアコンやクーラーの冷たい風を当てるのもマズいの?

冷たすぎる風は結露の原因となりうる

 クーラーや冷房運転中のエアコンからは“冷たい風”が出てきます。風が冷たくなる原理の説明は割愛しますが、場合によっては吹き出し口で結露が生じるほどの冷たさとなります。

 ここでポイントになるのが、やはり結露です。結露は、湿気(水蒸気)を含む空気が急激に冷やされて、湿気が凝結して水滴となる現象です。結露は空気と冷媒(冷やすもの)との温度差が大きいほど発生しやすくなります。

 密閉構造(基板類が外気に触れない構造)でない限り、スマホの本体内部は常に空気に触れています。プロセッサ(SoC)やディスプレイなど、スマホのパーツが温まると本体内部の空気も当然温まります。

 そこに冷えたエアコンやクーラーの風を当てるとどうなるでしょうか。当然、結露が発生する可能性があります。スマホ内部に結露が発生すると、スマホ本体内の基板において漏電や短絡(ショート)を起こす可能性があります。「スマホの調子がおかしい」「スマホの電源が突然切れた」ということで修理に出してみると、実は内部に発生した結露が原因で、修理を拒否されたり、修理はできても代金が高くなってしまうといった事例は珍しくありません。

 送風口において「めっちゃ涼しくない?」と思えるほどに冷えたエアコン/クーラーの冷気を、熱くなったスマホに当てることは厳に控えるべきです。


冷房運転のエアコンやクーラーの“冷えすぎた”風を当てるのはよくありません!

扇風機やうちわの風なら大丈夫

 「でも、どうしても早くスマホ冷やしたいんです……」という声もあるでしょう。

 スマホの故障につながる結露は急激な冷却によって発生しやすくなるものです。言い換えると急速でない冷やし方なら大丈夫ともいえます。

 急ぎでない場合は、直射日光の当たらない場所でスマホの電源を切って冷えるのを待つのが理想ですが、少しでも早く冷やしたいという場合は、以下の方法を試してみてください。

  • うちわの風を当てる
  • 扇風機の風を当てる
  • 常温で使う(急激な冷却を行わない)保冷剤/冷却剤を使う(熱くなることが分かっている場合、事前に付けて置くとベター)

急激に冷やすことが結露の原因となります。扇風機の風を当てる程度であれば、急激な冷却にはならないのでお勧めです

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