中古スマホの“良品”はどのように生まれるのか にこスマの検査センターに潜入(2/2 ページ)
中古スマホのECサイト「にこスマ」を運営する伊藤忠商事グループのBelongが、自社の中古スマホ検査センターを一部の報道関係者に公開した。にこスマで取り扱う中古スマホは、SIMロックやネットワーク利用制限がなく、外観の状態が良好なもの。端末1台1台を独自の管理システムに登録し、機能チェックからデータ消去、写真撮影、購入者への配送まで、全ての工程がこの検査センターで行われている。
外観をチェックして写真撮影
中身のチェックとデータ消去が済むと、次は外観のチェック。キズなどを確認してグレードを分ける。外観チェックを担当するスタッフは1カ月以上研修を受けて技術を習得した熟練者たち。一方、チェックを続けていると目利きが厳しくなりすぎてしまうことがあり、時にはグレーディングを担当していないスタッフを含めて基準を調整し、世間の感覚から外れないようにしているそうだ。
外観の検査が済むと検査の結果を1台ずつ登録し、データベースに反映させれば検査工程は終了だ。全行程を終えるまでに約1週間程度かかるという。
ちなみに、にこスマで取り扱う端末は全て検査センターで撮影してサイトに掲載している。検査センターに専用の撮影機材が整えられており、端末をセットしてPCのソフトをクリックするだけで自動的に撮影。データはクラウドにアップされ、サイトに反映される。「中古端末はそれぞれ違うものなので、1点1点チェックした上で納得して買っていただきたい」(大野氏)という思いから、1台ずつ写真を撮影し掲載している。
端末撮影の様子。小型の写真スタジオにカメラが2台設置されている。端末をスタンドにセットしてスタジオに置き、PCのソフトをクリックすると回転台が動いて、端末の正面、背面、両側面、上部の写真が自動的に撮影されていく
にこスマで売れた端末の出荷もここから
検査センターはにこスマ向け端末の倉庫も兼ねており、ここから購入したユーザーに配送されていく。にこスマのサイトで14時までに購入すれば当日発送の手配をするので、沖縄県などを除き基本的には翌日届く。
にこスマ向け端末のストック。IMEI番号で分けられた約1万点の端末が、すぐに出荷される状態で置かれている。にこスマはIMEIをサイトに掲載しているので、注文が入ればそのIMEI番号を確認して端末をピックアップする
中古のIT機器は、技術に詳しい店員がいるお店で目利きのできるお客が掘り出し物を見つけるといったイメージもあるが、中古スマホはオンラインで購入する人が多いという調査結果がある。価格の上昇や機能進化の鈍化で、中古スマホはますます広く一般ユーザーに浸透していくだろう。にこスマのような誰でも安心して買える中古スマホをそろえるサイト、ショップが支持されていきそうだ。
リアルショップも展開
にこスマは新たに実店舗である「にこスマSHOP」を、「三井ショッピングパーク ららぽーと海老名」に9月7日オープンした。実際に手に取って見て買いたいという人にはいい場所だ。
開放感、清潔感のある誰でも入りやすい売り場で、アップルストアにも似た雰囲気だ。現在取り扱っているのはiPhone 13機種とAndroid3機種で、機種・グレード別でサンプルを陳列。購入する場合は、バックヤードから新たに端末を出してきて選んでもらう形だ。キャリアショップでの勤務経験があるスタッフが常駐しており、通信プランの相談にも対応してくれるという。
なお、ショップでも充電器などの付属品はない。ショップにはアンカーのコーナーがあり、充電器やケーブルを一緒に買っていくことはできる。
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