壊れたスマホは「交換」よりも「修理」 iCrackedがPixelの正規修理を開始した理由:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
2015年に日本上陸した修理業者のiCrackedが、2018年に上陸したPixelの正規サービスプロバイダーとして、修理サービスを提供している。2022年5月にはソフトバンクと連携し、「あんしん保証パックネクスト」や「あんしん保証パックプラス」の適用を開始。現在は店頭修理のニーズが非常に強くなっているという。
保証と修理をセットで提供、キャリアも巻き込み修理事業を拡大
このあんしん保証パックネクストをソフトバンクやiCrackedと共同で手掛けてているのが、米SquareTradeの日本法人であるSquareTrade Japanだ。同社は保険商品を提供する企業。実は米国では、このSquareTradeが2019年にiCrackedを買収している。修理サービスの名称も、iCrackedから「SquareTrade Go」に変更した。iCracked Japanは現在も存続しているが、日本でもSquareTrade Japanが傘下に収めている。
現状、保証サービスはリフレッシュ品に交換するサービスが主流だ。特にAndroidはその傾向が強い。木戸氏も、かつてドコモの「ケータイ補償サービス」などを手掛けるアシュリオン・ジャパンで社長を務めた人物だ。では、なぜSquareTrade Japanはあんしん保証パックネクストで、iCrackedによる修理を可能にしたのか。木戸氏は、「店頭修理のニーズが非常に強くなっている」としながら、次のように語る。
「保証と修理を組み合わせて提供するのは全世界で主流になっている、交換がこれまでの保証のメインだったが、お客さまにとっては、目の前で修理した方が圧倒的にいい。新しい端末が出ても、そこまで大きくは変わらなくなった。既存の端末をそのまま使い続けたい思いが強い。そうなると、交換よりも修理のニーズが強くなってくる」
実際、冒頭で挙げたようにサムスン電子はGalaxyの店頭修理を開始しており、一部のドコモショップ店内にも拡大している。木戸氏は「ドコモもGalaxyの修理をやっているように、流れはだんだんとそちらの方向に向かっている」と語る。ソフトバンクとあんしん保証パックネクストを提供できたのも、「それ以前からiCrackedで店頭修理をやっていたことが後押しになった可能性がある」といい、傘下に修理店を持っていることが強みになったようだ。
一方で、現時点では「ソフトバンクと始めたばかりで、そこに注力している」といい、Google自身が販売するオープンマーケット版や、同じくPixelシリーズを取り扱うKDDIへのサービス提供は検討していないという。先に述べた通り、ハイエンドモデルだと修理代は高額。KDDIには「紛失故障サポート」があるものの、iCrackedでの店頭修理には対応していない。サービスをどう拡充していくは、GoogleやKDDIにとっての課題といえる。
「経済的に見合うかどうか」(福島氏)のハードルはあるが、iCrackedでは正規修理を請け負うメーカーのバリエーションを広げる方向性を模索しているという。「部材がなく、お帰りいただくのはよくないので、(Pixelでは)全店にパーツを置いている。これをやるとなかなかの投資になるので、ボリュームも含めて慎重に検討していきたい」(木戸氏)。一方で、「店頭修理の重要性は徐々に高まってきている」。実際、スマートフォンが高額化する中、保証サービスをセットにした店頭修理はメーカーや端末の売りになりつつある。iCrackedの次の一手にも注目したい。
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