「Pixel 7a」がいきなり実質24円? 巧妙な“端末値引きのカラクリ”を解説
Pixel 7aの価格設定と値引きについて解説。一括6万円台~7万円台だが、返却を前提とした購入プログラムを使えば、お得に運用できる。特にドコモとソフトバンクは、実質負担額を安く抑えられる。
Googleや大手キャリアから5月11日に発売された「Pixel 7a」が、公式ストアをはじめ、キャリアでも好調に売れている。今回は5年ぶりにドコモがPixelを取り扱うなど、話題性にも富んでいる。そんなPixel 7aの価格設定と値引きについて解説していく。記事中の価格は全て税込み。
Pixel 7aの価格は以下の通り(2023年6月8日時点)。
- Googleストア版:6万2700円
- ドコモ版:7万5350円
- au版:6万3890円
- ソフトバンク版:7万9920円
一括価格は、Googleストア版が最も安価となっている。このあたりは過去のモデルも同様の傾向にある。3キャリアの価格を見比べると、一括価格はソフトバンクが最も高価となり、次いでドコモ、auと続く。特にソフトバンクとドコモの価格設定は、Googleストア版と比較しても1万円以上高価となっている点が目立つ。
一方、キャリアで購入する際に、「返却」が前提の購入プログラムを適用すれば、安く運用できる。例えばドコモのオンラインショップをチェックすると、最初に目につく価格は「いつでもカエドキプログラム」を利用した実質負担額となる。
キャリアでiPhoneやPixelを取り扱うと、ストア定価よりも高価になる傾向がある。これはメーカーから定価に近い価格で仕入れているため、キャリア側は端末で利益を得にくい。そのため、定価よりも利益分を上乗せして販売するのだ。もちろん、ただ上乗せしただけでは手に取ってもらえないので、2年使用後の返却(実質的な下取り)によって実質負担額を抑えて販売している。
そして、切っても切れないものがキャリアによる「投げ売り」に近い販売だ。Pixelシリーズは日本でも人気の機種となり、MM総研が公開した2022年度の出荷台数でも137.4万台で6位につけるなど、シェアを着実に伸ばしている。
その背景には、投げ売りに近い大幅値引きによる廉価販売もいくらか影響しており、Pixel 6シリーズの際はauやソフトバンクにて「MNP一括1円」なんて表示も見られた。今ではこのような割引は規制の関係で行われることは少なくなったが、Pixel 7aでは最終的に端末を返却する「実質値引き」という形で多く行われている。
ドコモを例に挙げると、いつでもカエドキプログラムを適用して端末を購入すると、実質負担額が2万9700円となる。ドコモは発売当初、1~23カ月目の支払い額を1726円×23としていたが、6月1日以降は1291円×23回に値引きしており、23カ月目に返却した際の実質負担額が3万9710円から2万9700円に減っている。
一方、24カ月目以降の支払金額は、月々1902円なので、23回目までの方が毎月の支払い額が安い。Pixel 7aを安く運用したければ、23カ月以内に返却した方がお得なのだ。
これにMNPが対象の「5G WELCOME割」で2万2000円を引くと、実質負担額は7700円となる。この7700円を代理店や量販店が値引きしたり、ポイント還元を行ったりすることで「月額1円」にすることも可能になる。
このような施策は既に量販店で行われており、直近のドコモオンラインショップのランキングでもPixel 7aが1位につける好調ぶりを示している。
ちなみに、5G WELCOME割は一括購入も対象なので、7万5350円から2万2000円を引くと、5万3350円になり、Googleストアで購入するよりも安くなる。
ソフトバンクは購入プログラムの「新トクするサポート」を使うことが前提といえる設定だ。ソフトバンクでは48回分割にてPixel 7aを契約すると、前半24回が917円/月、後半24回が2580円/月という設定となる。ドコモと同じく、月々の支払額は前半の方が安い。ソフトバンクでは24カ月目の返却で後半分の支払いが免除になるため、実質負担額は2万2008円と安価になる。
さらに負担額を2万2008円と抑えたことで、2万2000円の回線値引きを使用すれば発売日から「月額1円」「実質24円」での提供が可能になっている。既にオンラインショップでもこの施策が展開されるなど、発売日から「祭り」状態となっている。
その一方でauは、一括価格をGoogleのストア価格に近い6万3890円としている。同社では機種変更で5500円の割引を行うなどauユーザーの場合、機種変更での一括価格はストア版より安価になる。機種変更やMNPなどの一括購入でも最も安価となるため、分割払いを行わない場合はau一択という状況だ。
今回、Pixel 7aの3キャリアの価格や割引についてチェックしたが、ドコモとソフトバンクは値引きを行って精力的に販売したいことが伝わってくる。
また、ソフトバンクのような「分割の前半だけ大きく値引きする」という新たな値引き手法も見られるようになってきた。特価品を除いてこのような分割設定とすることに筆者も「なるほど」とうなずかされた。
実は、キャリアにおける「分割販売における価格の設定」に規制はなく、公正取引委員会が示した「廉価販売」についても明確な基準は今のところない。このため、キャリアが精力的に販売したいものは、分割の前半24カ月分の値引き率を高めた「攻めた価格設定」ができる。
こうした分割販売の巧妙な値引きにより、今後、iPhoneをはじめとするハイエンドモデルがより買いやすくなることにも期待したい。
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