ドコモがエンタメ領域で「ミリ波」を訴求する狙い 「実際に使い切れていないことが最大のデメリット」(2/2 ページ)
NTTドコモは10月14日と15日に一般向けの体験イベント「LOST ANIMAL PLANET XR絶滅動物園」を東京スカイツリーで開催する。ドコモがエンタメ領域で5Gのミリ波をどのように活用するのかを示すのが狙い。入場料は無料で、来場者はスマートフォンやスマートデバイスを用いたコンテンツを体験可能だ。
ドコモ1社だけがミリ波を強く推しても、早期普及につながらない
しかし、中村氏は「日本のみならず世界的に割り当てがあっても実際に使い切れていないことが最大のデメリットであり、結果として5Gの良さが知れ渡らないことにもつながっている」との持論を述べる。
5Gの商用サービス開始当初の2020年、5Gを活用したイベントは主にメディアや技術系の関係者が対象となっていたが、「これでは一般に広く浸透しづらい」と踏んだのだろう。ただ、体験イベントではミリ波というワードや技術説明を極力行わないという。あくまで「ドコモの5Gを自然に体験できる場」としたいようだ。
中村氏は「ドコモがこのようなイベントを大阪など他の地域でも行う必要がある」とした上で、「もっといえば国際的にも日本の5Gをアピールしなければならない。ドコモの取り組みによる影響を受けるステークスホルダーとも協力して、日本から世界に向けてもユースケースの具体的な内容を伝えていかなければならない」と普及に向けた意向を示す。
さらに、「ドコモ1社だけがミリ波を強く推しても、早期普及につながらないことから、われわれとして費用対効果を考えながら、今回のようなイベントをさまざまな場所で開催し、5Gミリ波の認知訴求につなげたい」と補足的に説明した。ミリ波のユースケースが認知され、ミリ波エリアの拡大が進めば、ミリ波対応の端末が増え、ミリ波の特性をより実感できる機会が増えるというのが、ドコモの考えのようだ。
ただ、会場で配られるスマートフォンの画面や、会場に掲示されているポスターには一般ユーザーが分かりやすい形で、「ドコモの5Gがどのように役立っているのか」が記載されていないため、筆者はこのイベントが「エンタメコンテンツの体験イベント」と認識されて終わるのではなかろうか……と危惧する。ドコモとして「5Gミリ波が必要になる場面をもう少し分かりやすく示す」工夫がもう少しあってもいいのでは? と感じた。それゆえに5Gのミリ波の特性を広く認知させることの難しさも見えた。
関連記事
ドコモの「5G SA」に申し込んでみた 実際に試して分かった課題
NTTドコモで販売しているスマートフォン向けにスタンドアロン(SA)方式の5G通信サービス「5G SA」の提供が8月24日始まった。法人向けには既に提供されている。今回は個人として申し込む際の注意点やメリットをお伝えしたい。移動するユーザーにも5Gミリ波の電波を ドコモがユーザー追従型メタサーフェスの実証実験
NTTとNTTドコモはメタサーフェスを28GHz帯5G基地局を利用し、ユーザーの動きに合わせて電波の反射方向を動的に変更させる実証実験に成功。工場やオフィスなど、遮蔽(しゃへい)物が多い場所での利用シーンが拡大するという。ドコモが「ミリ波」の5Gをスタート 9月23日から
NTTドコモが、28GHz帯(ミリ波)を使った5G通信サービスを開始する。まずはルーターからサービスを開始し、既存のミリ波対応スマートフォン(arrows 5GとGalaxy S20+ 5G)での対応は2020年冬以降となる予定だ。5Gの普及には「ミリ波」が不可欠の理由 通信速度だけでないメリット、Qualcommが解説
Qualcommは2022年6月8日にメディア向けラウンドテーブル「Qualcomm NOW」を開催。クアルコムジャパンの須永順子代表社長は、ミリ波はモバイルネットワークの費用効率化と品質向上をもたらすことを説明。5Gのポテンシャルを発揮できるミリ波を早期普及させることが不可欠だと力説した。ドコモがLTE周波数帯の一部を5Gに転用 2024年3月までに5Gの全市区町村展開+人口カバー率90%達成を目指す
今までLTEから5Gへの「周波数転用」に消極的な姿勢を見せていたNTTドコモが、いよいよ周波数転用を開始する。転用対象の周波数帯は700MHz帯と3.4GHz/3.5GHz帯で、2022年春から順次5G用の帯域に変更される。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.