ドコモがLTE周波数帯の一部を5Gに転用 2024年3月までに5Gの全市区町村展開+人口カバー率90%達成を目指す
今までLTEから5Gへの「周波数転用」に消極的な姿勢を見せていたNTTドコモが、いよいよ周波数転用を開始する。転用対象の周波数帯は700MHz帯と3.4GHz/3.5GHz帯で、2022年春から順次5G用の帯域に変更される。
NTTドコモは3月11日、同社の5Gサービスについて、2024年3月末までに全国の全市区町村(1741自治体)のエリア化と人口カバー率90%の達成を目指すことを発表した。このことに伴い、同社は2022年春から順次、LTE(Xi)サービスで利用している周波数帯の一部を5G通信サービスに転用する。
「5G転用」に至るまでの経緯
ドコモでは従来、5Gサービス用に新規に割り当てられた周波数帯(3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯)を使って5Gエリアを構築してきた。
一方で、au(KDDIと沖縄セルラー電話)とソフトバンクは、5Gサービス用に新規割り当てを受けた周波数帯(3.7GHz帯。28GHz帯)によるエリア構築を進めつつ、LTE(4G)サービスで利用していた周波数帯の一部の5Gサービスに転用することで5Gエリアの拡大を加速している。
LTEで使われている周波数帯は、5Gにおいて新規に割り当てられた周波数帯よりも広いエリアをカバーしやすい。そのため、この周波数帯を5Gサービスに転用することで5Gエリアは広げやすくなる。
しかし、この周波数帯はまとまった帯域を確保しづらいため、実効通信速度はLTEサービスと大差ない。そのことから、LTEからの転用による5Gエリアのことは「なんちゃって5G」と“やゆ”されることもある。
“5Gならではのメリット”を重視するドコモは、従来からLTE用周波数帯の5Gサービスへの転用に消極的で、報道関係者向けの説明会でも新規割り当てを受けた周波数帯を使ったエリア構築を優先する姿勢を強調していた。
しかし、ドコモはLTE用周波数帯の5Gサービスへの転用を完全に否定していたわけではなく、2021年度後半から実施することは2020年10月の段階で表明している。
今回、予定通りにLTE用帯域の5Gサービスへの転用が始まることになる。
転用対象は3帯域 端末の対応状況は今後公開予定
ドコモがLTEから5Gへの転用を進める周波数帯は以下の通り。いずれも、LTE用としては後から割り当てられた帯域で、LTE端末でも非対応のモデルが少なからず存在する。
- 700MHz帯(Band 28)
- 3.4GHz帯(Band 42)
- 3.5GHz帯(同)
既存の5G端末におけるこれらの帯域への対応状況は、今後ドコモのWebサイトで公開される予定だ。
関連記事
- ドコモの「LTE→5G転用」は2021年度後半から 決算説明会で吉澤社長
LTE用に割り当てられた周波数帯の5Gへの転用に消極的とされるNTTドコモ。10月29日に行われた報道関係者向けの決算説明会において、初めて転用開始時期の見通しが明らかとなった。あくまでも、新規周波数帯でのエリア整備を重視する姿勢には変わりがないという。 - 総務省が楽天モバイルに「1.7GHz帯(東名阪エリア以外)」の電波を割り当てへ 5Gでの利用を前提に
5Gサービスでの利用を前提に募集した1.7GHz帯(一部)の基地局開設計画について、総務省が楽天モバイルの計画を認可することになった。4〜6月以降、同社は東名阪エリア以外において認可を受けた帯域での基地局開設が可能となる。 - ドコモの5Gは「瞬速5G」 新周波数で2023年3月末に人口カバー率70%へ
ドコモは高速・大容量の5G通信サービスを「瞬速5G」と名付けて訴求していく。5Gの新周波数を用いた人口カバー率は2023年3月末までに約70%を目指す。5Gのエリアマップも公開した。 - 総務省が「5G」電波の割り当てを決定 ソフトバンクと楽天は“追加条件”あり
総務省が「5G(第5世代移動体通信システム)」用に割り当てた3.7GHz/4.5GHz帯と28GHz帯の電波について、その割り当て結果を審議会に諮問。原案通りに答申された。ソフトバンクと楽天モバイルについては、割り当てに当たり追加条件を付与した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.