mineo、2024年に長期利用特典を復活へ 電気通信事業法の“規制対象外”を受けて
総務省は12月4日、「電気通信事業法第27条の3等」の運用に関して、改正したガイドラインを公表した。IIJとオプテージが規制対象外となった。オプテージはmineoにて、長期利用特典を提供する見込み。
総務省は12月4日、「電気通信事業法第27条の3等」の運用に関して、改正したガイドラインを公表した。
電気通信事業法第27条の3では、「通信料金と端末代金の完全分離」や「行きすぎた囲い込みの禁止」を規定。2019年の改定後、市場の変化や運用の課題を踏まえて再度改正された。改正したガイドラインは2023年12月27日から適用する。
改正によって、端末値引きの上限が税別で2万円から最大4万円に緩和されたことが大きなトピックだが、もう1つ注目したいのが、規制対象の事業者。現行ではMNO、MNOの特定関係法人および利用者の数の割合が0.7%(100万契約)を超えるMVNOを対象としているが、これを4%に緩和。4%は約500万契約に相当するので、現在規制対象になっているIIJとオプテージが外れる。
では、MVNOが規制対象から外れることで何が変わるのか。1つは端末値引きで、4万円を超える値引きが可能になる。ただ、過度な値引きはMVNO側の負担も大きく、端末目当てのユーザーによる短期解約のリスクもつきまとう。
そこで注目したいのが、長期利用特典。長期ユーザー向けに特典を提供することは、「行きすぎた囲い込み」に該当するため規制対象の事業者は禁止されているが、これが提供可能になる。長期利用特典はユーザーの満足度向上につながり、MVNOにとっては解約抑止にもなるWIN-WINの施策といえる。
実際、オプテージはmineoのユーザー向け特典「ファン∞とく」の中で、2017年6月から長期利用特典を提供していたが、現行法に改正された2019年10月以降は停止していた。長期利用特典の中身は、miineoの利用期間に応じて、契約事務手数料(3300円)が無料になるエントリーコード、端末購入でもらえる500円~3000円の電子マネーギフト、コミュニティーサイト「マイネ王」で使える王国コインなどを配布するというもの。
現在は、mineoの利用期間ではなく、mineoアプリの利用状況やマイネ王の活動に応じて王国コインを配布したり、エントリーコードや端末購入特典(最大2000~3000円分)をプレゼントしたりしている。王国コインは、パケットがもらえるおみくじ、抽選で当たる王国アイテムの応募、王国イベントへの参加などに使える。形を変えて特典を継続しているものの、一定のハードルがあり、長期ユーザーが必ずしもお得になる施策にはなっていなかった。
mineoは2019年の改正法によって特典の変更を余儀なくされていたわけだが、規制対象外になることで、mineoの施策に影響は出るのか。同社は改正ガイドラインの公表を受けて、コメントを発表した。
「事業者間の公正な競争環境の整備の促進を確保を目的とした規制の対象事業者の見直しについては、MVNOが創意工夫による独自のサービスを創出・提供することが可能となり、モバイル市場における競争の活性化、引いては利用者利便の向上につながるものと考えております。接続料についても、品質の向上やさらなる顧客価値の拡大に向け、さらなる低廉化に期待いたします」
さらに、長期利用特典についても、新たな施策を提供する予定だという。
「mineoはブランドステートメント“fun with fans”に基づき、これまでも独自性を持った事業展開を行ってまりましたが、今後も、ユーザーさまと共に、サービスにご満足いただき、長期に渡りご利用いただける施策を検討してまいります。具体的には、電気通信事業法の趣旨にのっとった上での長期利用特典施策を実施予定です」
2024年1月30日に、改正法を踏まえた今後のサービスなどについて、メディア向けの発表会を開催する予定だとしている。ファン∞とくの長期利用特典が、そのまま、あるいは形を変えて復活することになりそうだ。
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