激化した2023年のスマホ料金競争を振り返る ドコモのサブブランド対抗/金融連携が新トレンド:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
2023年は、キャリア各社の料金プランが相次いで改定された1年だった。6月には、楽天モバイルが「Rakuten最強プラン」を導入。ほぼ同時期に、KDDIのUQ mobileも従来の料金体系を刷新した。ドコモがついにサブブランド対抗を打ち出して「irumo」を開始したのも大きなトピックだった。
ついにサブブランド対抗を打ち出したドコモ、ポートアウト抑止に効果も発揮
サブブランドを持っていなかったドコモも、ついにY!mobileやUQ mobileに対抗する料金プランを打ち出した。小容量に特化したirumoが、それだ。これに先立ち、同社は完全子会社だったNTTレゾナントを吸収。MVNOのOCN モバイル ONEは新規受付を終了し、ドコモ自身の料金プランとしてirumoを開始した。irumoはエコノミーMVNOで人気があったOCN モバイル ONEの500MB/月コースを0.5GBプランとして継承しつつ、3GB、6GB、9GBの3本立ての料金を打ち出している。
3GBプランの料金は2167円だが、ドコモ光セット割とdカードお支払い割を組み合わせると、880円まで料金が下がる。ただし、従来の料金プランとは異なり、「docomo.ne.jp」のキャリアメールはオプションになり、これをセットにすると月額料金が330円追加される。サポートを一部有料化しているのもirumoの特徴。店舗で行うアカウント設定やバックアップ、OSアップデートなどにも、それぞれ1100円の料金がかかる。これらの料金は、eximoだと無料。irumoはサポート分もコストカットした料金プランというわけだ。
オンライン専用プランのahamoとは異なり、ドコモショップでの契約やプラン変更などには対応する。端末の購入もできる。その意味で、irumoは既存の料金プランとahamoの中間的な位置付けにある仕組みを採用したといえそうだ。料金に敏感な層をオンラインで獲得しつつ、ドコモショップでの乗り換えもサポートできる。こうした二面性を持っている点は、他社のサブブランドに近い。
8月に開催されたNTTの決算説明会では、代表取締役社長の島田明氏が、irumo導入の狙いを「コンペティター(競合他社)のセカンドブランド対抗を意識している」と語っている。導入開始当初は、「ポーアウトアウトが減り、プラスに効いている」(同)とした。ドコモの代表取締役社長 井伊基之氏も、11月の決算説明会で「低容量の方のポートアウトが改善できている」として、一定の手応えを得ていることを強調した。
ただ、新料金プラン導入以降、「1カ月、2カ月たつと、eximoの方が人気が上がってきた」(同)という。eximoの場合、「爆アゲ セレクション」で対象となるサービスが多く、料金プランを問わないサービスでも還元率が高い。井伊氏は「home 5Gや映像サービスなどをセットで買っていただける」と語っていたが、こうしたセット販売が奏功していることがうかがえる。一方で、金融・決済サービスをセットにした料金プランは「バンドルするものがなかった」(同)ため、様子見の段階。こうした連携では、他社が一歩リードしている状況だ。
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