Google幹部がAppleを批判 「ユーザーをiOSから離脱しづらくしている」 サイドローディングにも言及(2/2 ページ)
Googleは2024年3月7日、AndroidとGoogle Playの説明会を開催した。来日中の Google政府渉外・公共政策担当バイスプレジデントであるウィルソン・ホワイト(Wilson White)氏が登壇し、AndroidとGoogle Playの歴史や現在のエコシステムを語った。サイドローディングについての言及もあった。
Appleは「ユーザーがiOSから離れることを非常に難しくしている」
では、iOSとの違いは何だろうか。ホワイト氏は以下の通り話す。
「この両者(AndroidとiOS)は、本当に正反対で、全く異なるもの。繰り返しにはなるが、Androidは大変オープンである。アプリについては、さまざまな方法で決済を行え、ダウンロードできる。ダウンロードも直接開発者からダウンロードできれば、Google Playを含めて、いろんなストアからダウンロードすることもできる。われわれのエコシステムでは、これらの手段が確保されている」
モバイル市場においては、過去に米MicrosoftがWindows PCで使えるOSをモバイルでも使えるようにしていたが、2019年12月10日に「Windows 10 Mobile」のアップデートやサポートを打ち切った。他にも海外に目を向けると、「KaiOS」「Firefox OS」など細かく挙げることはできる。
しかし、2024年現在は事実上、AndroidとiOSが市場を覇権しており、モバイルOSについて、「AndroidとiOSの寡占状態」である、と表現されることが多い。
- →App Store以外のアプリストアが認められても効果なし? 「サイドローディング」議論の行方
- →Googleが“Playストア外アプリ”の安全性を担保する方法 「場合によってはアプリを無効化する」
- →App Store以外からもアプリのダウンロードを可能にすべき 政府が方針示す
AndroidはGoogle Play外から入手したアプリをインストールできるが、iOSでは原則として、App Store外からのインストール、いわゆる“サイドローディング”ができない。Apple以外の事業者がiOSのアプリストア事業に参入できなければ、ユーザーによる入手先の選択が不可能になり、手数料に競争圧力が働かなくなる。他にもイノベーションの阻害になる、などの懸念が挙がる。
これらは、「モバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告案」で明かされてきた懸念点だが、同氏は「iOSから別のOSに乗り換えづらい」ことも指摘する。
「Appleは、ユーザーがiOSをいったん使い始めたら、iOSから離れることを非常に難しくしている。iOSには、Androidのような自由度、選択肢、それにフレキシビリティがない」(同氏)
一方で、Appleにとっては、自社ストア外からのダウンロードにより、安全性の保証や確保が困難になる他、ストア外での取引に誘導されてしまうと、手数料を得られなくなる。
安全性については、同氏もおおむね同じ考えを示す。「ユーザーは、自分が今からやろうとしていること(セキュリティの面でリスクがあること)を理解」した上で、「アプリをGoogle Play外のストアからダウンロードする必要がある」としている。
加えて、同氏は「Google Play プロテクトというシステムがAndroidに備わっている」ことも説明した。スキャン検知システムを使って、AndroidのOS上でインストールされたアプリ、Google Playを経由せずにインストールしたアプリをスキャン」することで、安全性を担保している。
日本政府は、App StoreとGoogle Playが、両社の“独占的な地位”を強固にするとにらむ。そのため、政府は、新たな規制を設け、AppleやGoogleに対して、外部ストアからのアプリのインストールや、その場合の安全性確保を促す他、自社(AppleやGoogleが指定する)決済および課金システム利用の義務付けを禁止する。
また、英国科学・イノベーション・技術省(DSIT)が公表した「アプリストア等に対するコード・オブ・プラクティス」では、「ストア運営者がセキュリティとプライバシーの要件を明確に定め公開する」ことや、「悪質なアプリを48時間以内に利用不可にする」ことを定めている。
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