Galaxy S24シリーズの目玉機能「Galaxy AI」を全方位で検証 スマホ体験が大きく拡張される!(4/4 ページ)
Galaxy AIの(ほぼ)全機能をスマホでレビュー。通話翻訳や文字起こし、要約……多彩な新機能を徹底解説する。
生成AIを使った写真の編集機能も充実 背後の人を消したり背景を差し替えたりできる
写真を印象的に見せるための加工術をAIが提案する機能「ジェネレーティブ写真編集」もある。生成AIによって、写真を手軽に編集する機能だ。
被写体を選択して、位置を調整したり写真から削除したりできる。例えば、写真に写り込んだ知らない人を消したり、人の位置を動かしたりできる。SNSへの投稿写真から、写り込んでしまった知らない人を消したいときなど、プライバシーを守るためにも活用できそうだ。
操作は「かこって検索」と同様にシンプルで、被写体をグルッと囲むと選択できる。選択した被写体を削除したり移動したりすると、その部分に空白が生じるが、生成AIがその空白を自然に埋めてくれる。人物を消した場合、背景がシームレスに補完される。また、被写体の一部を移動させた場合も、移動前の位置の背景が自動で修復される。ただし、複雑な背景や、被写体と背景のコントラストが低い場合は、補完された部分に違和感が残ることもある。
Adobeの「生成塗りつぶし」に相当する背景の差し替え機能もある。写真の構図を調整するためにトリミングすると、被写体が構図に収まらなくなることがあるが、生成AIで余白の部分を自然に補完できる。背景がシンプルな方が成功しやすく、背景が雑多な空間だとうまく補完されない。
写真によって異なる編集を提案する機能もある。ギャラリーアプリで写真の詳細を表示したときに、写真をよりよくするための提案を表示する。提案内容は、背景ぼかし、影を消す、長時間露光などがある。
飛行機内で撮影した写真では「反射を消す」が提案された。提案ボタンを押しただけでは窓に映った物体を消しきれなかったものの、修正したい対象を手動で選択して、消去できた。
Galaxy AIのジェネレーティブ編集には、「Adobe Firefly」のように任意のテキストプロンプトから画像を生成する機能はない。また、被写体の削除や背景の差し替えの際に、空白部分の補完についても細かい指示を与えることはできず、あくまでAI任せの編集となっている。
生成AI画像編集ツールの中には、ユーザーがテキストで指示を入力することで、画像の一部を自在に編集できるものもある。しかし、Galaxy AIの画像編集機能はより保守的な作りになっており、シンプルな使い勝手を重視し、複雑になりすぎないように設計されているようだ。
生成AIを使った壁紙の作成や動画のスローモーション再生も可能に
壁紙の生成機能では、生成AIによる画像作成機能が取り入れられている。ユーザーはあらかじめ用意されたプロンプトのパターンから選択することで、抽象的で奇想的なイラストを壁紙として作成できる。
「ギャラリー」アプリでは、動画再生時の機能として、「インスタントスローモーション」が追加された。
これは、どんな動画でもスローモーションで再生する機能だ。操作は簡単だ。動画再生中に画面を長押しすると、スローモーション再生に切り替わる。
なお、YouTubeやGoogle フォトの動画ではインスタントスローモーションは使えない。ローカルにダウンロードする必要がある。この機能は、生成AIが中間コマを補完して実現しているためだ。例えば、60フレームの動画に対して、AIが中間コマを生成し、滑らかにフレームレートを上げるのだ。
例えば草野球の試合を録画して、スイングのフォームを分析する際に使えそうだ。山で遭遇した動物の動画を振り返りたいときにも役立つだろう。
まとめ:Galaxy AIはスマホ体験を拡張するツール群だ
Galaxy AIは、スマートフォンの使い勝手を向上させるための多彩な機能を提供しているが、それらはスマホの本質的な使い方を劇的に変えるようなものではない。Galaxy AIの機能は、あくまで既存のスマホ体験を拡張するものであり、スマホを使う中で不便に感じる作業を効率化させることに主眼が置かれている。
Galaxy AIはChatGPTのような対話型AIではなく、バックグラウンドで静かに動作し、ユーザーのスマホ体験を向上させる脇役に徹している。ユーザーにとっては細かい指示を出すシーンがないため、使い始めのハードルが低い。
また、Galaxy AIはオンデバイス処理とクラウド処理を長所として、ユーザー側は気にせずに利用できるようになっている。2025年以降の提供形態に言及がない点は気になるが、NPUの処理性能が世代を追って向上し、オンデバイス処理できるタスクが増えてくれば、長期的に提供できる内容が増えていくだろう。
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