インタビュー

進化した「OPPO Reno11 A」が4万円台を維持できたワケ Reno9 Aでガッカリした3つのポイントを重点強化(3/3 ページ)

日本市場向け「OPPO Reno11 A」は、プロセッサやディスプレイ、カメラを刷新。処理能力を高めつつ、ディスプレイのリフレッシュレートやカメラの画質も向上させた。大きく値上げせずに性能をアップデートしたことにはポジティブな反響も多かった。もとはベースモデルが存在しない日本専用モデルだったReno Aシリーズだが、そのコンセプトを変えつつあることがうかがえる。

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Reno9 Aを買ってガッカリしたポイントに「充電性能」

―― 今回は、67Wの急速充電にも対応しています。やはり、ここはOPPOとして対応してほしいという声は多かったのでしょうか。

坂井氏 急速充電自体、OPPOは10年以上前から取り組んできています。昨年発売した「Reno10 Pro 5G」では、ソフトバンクの神ジューデンに対応しました。また、「A79 5G」もローエンドながら、33Wの急速充電に対応しています。ラインアップ全体で急速充電に対応し、「OPPO=急速充電」という認識になるよう、継続的に力を入れています。

 今回はSUPERVOOCで67Wになるだけでなく、USB PDのPPSでも55Wで充電ができます。既に充電器をお持ちの方であれば、すぐにその効果を得られるようになりました。

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河野氏 Reno9 Aユーザーから取ったアンケートで、「買ってガッカリしたポイント」がありました。こうした調査は毎年やっているのですが、今回は主に3つに集約されます。その1つ目が充電性能でした。

―― 他の2つも教えてください。

河野氏 もう1つはカメラで、今回はそこも重点的に底上げしています。3つ目はSoCが何も変わっていないというご意見でした。

―― とはいえ、ユーザーは毎年買うわけではありません。チップが同じでも、そこまで困らないとは思いますが。

河野氏 もう1回同じSoCで出してみようかという話はありましたが(笑)。ただ、OPPOをお使いの方の中には、家族で使われる方が多くいます。1年前に買って、すごくよかったのでお母さんにも同じものを買ってあげようと思い、最新モデルを調べたらチップが同じだった……そこにアンケートの依頼が届くと、「何も変わっていない」と答えるのだと思います。

 現状で何か不満があるわけではなくても、買うとなると調べたり、ソーシャルやネット上の意見を気にしたりする方もいます。もちろん、大多数の方は気にしていないとは思いますが……。

ガイドライン改正の影響なし ハイエンドは「冬を楽しみに」

―― 価格についてですが、先ほど、5万円以下に抑えるという話がありました。それとは別に、昨年末、割引の上限が4万円(税別)変更になりましたが、その影響は何かありましたか。

河野氏 われわれに対しての影響は、特にありませんでした。OPPOはミッドレンジが強いメーカーで、もともと4万円台半ばの製品を(多く)出していたからです。フラグシップモデルのFindシリーズも、もう3年近く出していません。一方で市場を見ると、20万円の製品もありますが、ここから4万円引いたとしても、あまりインパクトがありません。そこへの最適化という意味ではハイエンドに近いミッドレンジがあり、それが先ほど挙げたReno10 Pro 5Gでした。キャリアは買い替えプログラムに力を入れていますが、そういった動きも今後どうなるのかは注視しています。

―― 今ハイエンドのお話がありましたが、他社もカメラ機能が優れたハイエンドモデルをオープンマーケットに投入し、話題を集めています。技術力やブランドを見せるという意味だと、やはりハイエンドモデルは必要ではないでしょうか。

河野氏 昨年、Reno10 Pro 5Gが発表されたときに、24年度はラインアップの構成を見直すことに力を入れるとお話ししました。その経営方針自体は変わっていません。まだ何を出すかはお話しできませんが、今年の冬ぐらいをぜひ楽しみにしていてください。


2023年9月に、日本でのラインアップ強化を発表。ハイエンドに該当するFind Xシリーズの再登場にも期待が集まる

取材を終えて:Reno11 AはOPPOの戦略を転換したモデル

 グローバルモデルとの共通化が進み、防水・防塵仕様はグレードダウンしたReno11 Aだが、その分、5万円以下という価格と処理能力の高さを両立させている。日本向けのカスタマイズもなくなったわけではなく、おサイフケータイにはしっかり対応している。日本市場を攻略する上で、日本に特化した端末の重要性は高かった一方で、グローバルモデルにその考え方が浸透すれば、あえて特別なモデルを開発する必要がなくなる。

 むしろ、コストパフォーマンスの高さを生かすなら、グローバルモデルと共通化されていた方が有利になる。その意味で、Reno11 Aは、単なるReno Aシリーズの後継機ではなく、OPPOとして戦略の転換を図った端末といえそうだ。このモデルがどう評価されるかで、今後の方針も変わってくる可能性がある。その意味では、発売後の動向にも注目しておきたい1台といえそうだ。

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