連載

約2万円の折りたたみケータイ「Orbic JOURNEY Pro 4G」を試す シンプルで使いやすいがローカライズに課題も石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

Orbic(オルビック)が、フィーチャーフォンの「Orbic JOURNEY Pro 4G」を発売した。主に通話やSMSなどのメッセージサービスを利用する人に向けた端末。日本で初となる「KaiOS」を搭載しており、GmailやGoogle マップなどのアプリも用意している。

前のページへ |       

ブラウザ搭載、アプリストアも使えるが、ローカライズは課題か

 ブラウザも搭載されており、Webサイトの表示が可能。動作は速いとはいえないものの、検索してニュースを読む程度であれば、それほどストレスは感じないだろう。一方で、こちらも画面サイズや解像度の問題で、PC向けのサイトは見づらい。全体のごく一部が画面いっぱいに広がってしまうからだ。試しにGoogle検索から飛ぶ形でITmedia Mobileにアクセスしてみたが、モバイルブラウザと判定されず、PC向けのページが開いてしまい、記事を読むのに難儀した。


ITmedia Mobileのトップページ(のごく一部)。解像度が低いため、一覧性は極めて低い

 KaiOSにはアプリストアも存在しており、アプリを追加することも可能だ。アプリのジャンルを示すタブなどは、きちんと日本語化されている。一方で、現状、そのバリエーションはiOSやAndroidと比べると極めて少なく、日本語化されているアプリも非常に少ない。ミニゲームなどは言語が違っても遊べそうだが、ツールの多くはダウンロードしても使い道がないケースも多い。


アプリストアも用意されているが、日本語に対応したものは非常に少ない。ただし、「QRリーダー」と「PodLP」の2つは日本語で紹介されていた

 これは標準搭載されているアプリも同じ。例えば「ニュース」アプリは、日本語に切り替えることは可能だが、そうすると中身が空っぽになってしまう。天気予報アプリも現在地が機能しないことがあった。どのような層が利用するのかにもよるが、これまでキャリアのフィーチャーフォンを使っていた人が乗り換えるには、少々クセが強すぎる印象もある。

advertisement

【訂正:2024年7月27日22時30分 初出時、「GPS非搭載」との記述がありましたが、誤りでした。おわびして訂正いたします。】

ニュースアプリは、日本語に切り替えると記事が表示されなくなってしまった(笑)(写真=左)。天気アプリのデータは「AccuWeather」から。位置情報がきちんと読み込まれないことがあったが、その場合も、手動で指定すれば天候や気温を確認することはできた(写真=右)

 現状、日本で販売されているフィーチャーフォンは、AOSP(Android Open Source Project)ベースの独自OSを搭載しており、アプリをユーザーが手軽にインストールする方法はふさがれている(ベースがAndroidのため、ないわけではないが)。これと比べると、KaiOSの方が自由度は高いが、その自由度が生かし切れていない印象も受けた。

 こうした点を踏まえると、JOURNEY Pro 4Gは、やはり電話やSMS、Gmailなどを中心とした使い方が中心になりそうだ。こうした機能を使う分には、操作性もシンプルで悪くない選択肢といえる。スマホに触れたくない休日に持ったり、データ通信するスマホとは別に電話用のケータイとして持ったりする端末にはなりうる。2台持ちの観点では、Googleアカウントで連絡先を同期できる機能が役に立つ。


Googleアカウントでの連携もでき、大画面スマホとの2台持ちはしやすい

 仮にLINEや各種コード決済アプリがあればもう少し用途の幅も広がるはずだが、そのためには、まず日本で端末が普及する必要がある。9割以上のユーザーがスマホを使う中、あえて日本市場向けのフィーチャーフォンにアプリを投入する開発者は少ないだろう。鶏が先か卵が先かになってしまうが、Orbic1社だけで解決できる問題ではないことだけは確かだ。ファンドを通じてKaiOSに出資しているKDDIなど、キャリアの協力も不可欠になる。グローバルでのスケールメリットは生かしやすいだけに、業界ぐるみでの推進も期待したい。

(製品協力:Japan Orbic

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.