映画「着信アリ」の無料配信で想起する、ガラケー全盛期の日常
携帯電話を題材にした名作映画がYouTubeで無料配信された。それは「着信アリ」だ。携帯電話に「死の予告電話」がかかってくると、その予告通り死んでしまう――そんな映画だ。
YouTubeで、携帯電話を題材にした名作映画の配信が始まった。「着信アリ」だ。三池崇史が監督を務め、柴咲コウさん主演で、2003年に制作された。携帯電話に「死の予告電話」がかかってくると、その予告通り死んでしまう――そんな映画だ。
柴崎さん演じる主人公の由美は女子大生。ある日、友達に誘われた合コンの場で、突然、携帯電話が鳴り出す。サブディスプレイを確認すると、「着信アリ」の文字が表示されていた。「これ、私の番号……」と発する陽子。発信元を確認すると、なんと陽子の携帯電話番号だった。
サブディスプレイはフィーチャーフォンの外側にあるディスプレイ。折りたためる端末の場合は本体を開かずに日付や着信履歴などを確認できる。画像はKDDIがG'zOne20周年記念モデルとして2021年12月10日に発売した「G'zOne TYPE-XX」
発信は自分の携帯番号で、残された留守電のメッセージは自分の死ぬ間際の声、着信時刻は三日後、自分の死の予告時間。そして“死の予告電話”を受けた携帯の持ち主はみな、事故で死んでしまうのだ。
携帯電話の持ち主が自ら発信し、着信も同じ持ち主にある、というあり得ない現象が目の前で起きた。一部の機種には着信をテストする、いわば「フェイク着信」なる機能がある。
音声通話アプリから「111」に発信し、折り返してもらう発着信テストは、NTTドコモのフィーチャーフォン(ガラケーと揶揄される端末)でもスマートフォンでも実行できるが、当時のフィーチャーフォンには携帯電話回線を介さずに端末内でフェイク着信が行える機能があった。
だが、映画の中では携帯電話回線を介して、利用者本人の携帯電話番号が発信元となり、着信も同一人物の携帯電話番号宛にある、という実際にはあり得ない内容となっている。
フィーチャーフォン全盛期は「着信音」「着メロ」という用語が日常会話にあった。例えば、「最近、新しい着メロにしたんだけど、どう思う?」「それ、いいね。いくらだった?」というような会話内容だ。
着信アリ制作年の2003年から約21年たった2024年現在は、家族や友人同士、飲み会での会話でLINEやSNSがテーマになったとしても、「その電話、誰からかかってきたの?」なんて会話はほとんどない。電話(音声通話)ではなくLINEやSNSが主流だからだ。
そんな当時が分かる着信アリは、KADOKAWA公式YouTubeチャンネル「角川シネマコレクション」にて、8月30日20時~9月31日19時59分の期間限定で無料配信される。当時の日常や現実ではあり得ない恐怖に興味がわいたら、着信アリを視聴してみよう。
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