約3年ぶり「らくらくスマートフォン」は“変えない”ことにこだわり SIMフリー戦略で販路も積極開拓(2/2 ページ)
FCNTは、これまでドコモ専用だった「らくらくシリーズ」を初めて他社にも展開。ドコモ向け最上位機「F-53E」、ワイモバイル向け「らくらくスマートフォンa」、SIMフリーモデル「Lite MR01」の3機種を発表し、マルチキャリア戦略に転換した。
らくらく初のSIMフリー戦略、ドコモでも販売
らくらくスマートフォン Lite MR01は、らくらくシリーズ初のSIMフリーモデル。らくらくスマートフォン aと同様、独自のホームランチャーやUIを搭載しつつ、ハードウェアは一般的なスマートフォン寄りの使用だ。想定価格は5万円程度だ。
SIMフリーモデルとしてIIJmioやLIBMOといったMVNO各社、家電量販店でも取り扱われる。
興味深いのは、NTTドコモもこの機種を取り扱う点だ。ドコモの型番規則を採用せず「らくらくスマートフォン Lite MR01」として販売する。NTTドコモのアプリへの対応については、発売後に公表予定としている。
NTTドコモ広報は「お客さまの多様なニーズにお応えするため、ラインアップ拡充を目的に、SIMフリー機種を取り扱うことにいたしました。またドコモ独自機能への対応については、現在確認中となり、販売開始までにはドコモサイトにてお知らせいたします。基本的にはドコモサービス・機能をお使いになりたいお客さまは、F-53Eの購入をお勧めいたします」と説明した。
基本仕様はY!mobile版とほぼ同一で、MediaTek Dimensity 7025、約6.1型ディスプレイ、4500mAhバッテリーを採用。メモリ/ストレージ構成(4GB/64GB)やカメラ仕様(メイン約5010万画素、インカメラ約800万画素)も共通だ。こちらもF-53Eの感圧式タッチパネルは採用せず、Googleアシスタントキーを搭載している。
3機種とも電池長持ち技術や自律神経計測を搭載
3機種はいずれもQnovoとの共同開発による電池長寿命化技術を採用し、4年後でも初期容量の80%を維持するとしている。防水・防塵性能やまる洗い対応といったらくらくシリーズの特徴も継承している。
振り込み詐欺対策として、通話中に振り込みや暗証番号といった特定のキーワードを検知すると警告を表示し、会話を自動で録音する機能も搭載している。
また、2024年8月に発売されたarrows We2 Plusから搭載された自律神経活性度測定機能を全機種に採用。背面カメラ下のセンサーで指先のバイタルデータを読み取り、自律神経パワーと自律神経バランスを計測できる。測定結果は「ララしあコネクト」アプリで管理でき、京都大学名誉教授の森谷敏夫氏監修による改善アドバイスも提供される。
らくらくホンとらくらくスマートフォンの2つは維持する
新製品の発表に合わせ、FCNTは将来の製品展開についても言及した。フォルダブル(折りたたみ)スマートフォンについて桑山副社長は「相性はいいと思うが、使いやすさが本来の目的。それにフィットするようであればチャレンジしたい」と前向きな姿勢を示した。ただし現時点では価格面がネックとなっており、市場の成熟を見極めながら検討するとしている。
フィーチャーフォン型の「らくらくホン」については「形は変わるかもしれないが、供給を継続したい」(外谷氏)と述べた。シニア向けインフラの一部として「必要な限り提供できるよう頑張りたい」とし、開発にも「ハイエンド並み」のリソースを投入。らくらくホンとスマートフォン、2つの選択肢を維持する方針だ。
海外展開については「ニーズはある」としながらも、「国内の新製品を出してから次のステップで考える」(桑山氏)と慎重な姿勢を示している。
らくらくスマートフォンシリーズの累計販売台数は約900万台。2000万人ともいわれるスマートフォンの使いこなしに不安を持つシニア層に向けて着実に普及が進みそうだ。
| 機種名 | F-53E | らくらくスマートフォンa | らくらくスマートフォンLite MR01 |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム | Snapdragon 6 Gen 3 | MediaTek Dimensity 7025 | MediaTek Dimensity 7025 |
| ディスプレイ | 約5.4型 Full HD+有機EL | 約6.1型HD+TFT液晶 | 約6.1型HD+TFT液晶 |
| メインカメラ | 約5030万画素+約800万画素 | 約5010万画素 F1.8 | 約5010万画素 F1.8 |
| インカメラ | 約1610万画素 | 約800万画素 F2.0 | 約800万画素 F2.0 |
| バッテリー容量 | 4000mAh | 4500mAh | 4500mAh |
| メモリ(RAM) | 4GB | 4GB | 4GB |
| ストレージ(ROM) | 128GB | 64GB | 64GB |
| microSD | 最大1.5TB | 最大1TB | 最大1TB |
| サイズ(幅×高さ×奥行き) | 約71×151×9.3mm | 約73×162×9.0mm | 約73×162×9.0mm |
| 重量 | 約172g | 約185g | 約185g |
| 特徴的な機能 | らくらくタッチパネル、シャッターキー | Googleアシスタントキー | Googleアシスタントキー |
| 発売時期 | 2025年1月下旬以降 | 2024年11月7日 | 2024年12月上旬以降 |
| 価格(税込み) | 未定 | 3万1680円(MNP時9800円) | 5万円(SIMフリー版) |
| 販売チャネル | ドコモ | Y!mobile | SIMフリー(ドコモショップ含む) |
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