“謎スマホ”と呼ばれた中国EVメーカーの新モデル「NIO Phone N2401」を見た:山根康宏の海外モバイル探訪記
NIO Phoneが幻のスマホと呼ばれていたのは、中国のNIOのEV販売ストアに行ってもNIO Phoneの展示が行われていなかったからです。
EVメーカーがスマートフォンを手掛けるというアグレッシブなモデル、NIOの「NIO Phone」の初代モデルを以前、上海の展示会で触ってきました。なおこの初代モデルの発売は2023年9月でした。
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さすがにあまり売れていないだろうし、スマホ本業ではないだけに一発屋で終わるか、後継機はしばらくしてから出てくると思いきや、2024年7月に2024年モデルが登場しています。
10カ月で新製品を投入するとは、本気で作っているのでしょう。なお自動車のようにどちらの製品も「NIO Phone」と名前は変わりません。モデル名として2023年発売の初代モデルは「NIO Phone N2301」、2024年モデルは「NIO Phone N2401」と、年号をモデル名にしています。
NIO Phoneが幻のスマホと呼ばれていたのは、中国のNIOのEV販売ストアに行ってもNIO Phoneの展示が行われていなかったからです。家電量販店でも購入できず、購入するにはNIOのオンラインストアを使うしかありませんでした。スペックが高くデザインのいい製品ではあるものの、実機を見ずに購入するのもなかなか難しいものです。
ところが2024年10月、中国深センにあるNIOのストアを訪問し、EVをいくつか見ていたところ、1台の展示車の車内にスマホを発見。当初は店のスタッフの仕様のスマホをワイヤレス充電しているのだと思いました。しかし近寄ってみるとNIO Phoneっぽいデザインです。
早速スマホを手に取って端末情報を見ると「N2401」とあります。NIO Phone 2024年モデルです。ここのNIOのストアは過去に何度か来たことがあるのですが、NIO Phoneが展示されていた記憶はありません。もしかすると2024年モデルから車内で展示するようになったのかもしれません。とはいえ「スマホあります」といった表示も無く、スタッフも教えてくれることも無いので、多くの来客がここにNIO Phone 2024年モデルが置かれていることに気が付かないでしょう。
NIO Phone N2401はN2301と比べると細かい部分の仕様も変わっており、プロセッサだけを変えたようなマイナーブラッシュアップモデルではありません。N2401はディスプレイサイズが6.82型に、プロセッサはクアルコムのSnapdragon 8 Gen 3に、バッテリーは5020mAhで若干容量が減ったものの、急速充電は80Wに高速化されています。
本体サイズは約163.9(幅)×77.5(奥行き)×8.5(高さ)mm、重さは最軽量モデルが約209gで、より薄く、軽くなっています。カメラ部分を含む本体の上側全体が1段階盛り上がった形状になった特徴的なデザインは、前モデルを踏襲しています。
カメラはN2301が有効5000万画素の3つレンズを搭載していて、それぞれ広角、超広角、2.8倍望遠でした。N2401はセンサーを変えており、それぞれ広角が4800万画素、超広角が4800万画素、2.6倍望遠が5000万画素となりました。カメラの性能そのものは高められています。
高画質カメラを搭載しているので、何も考えずにいい絵が撮れるのはいいものです。一般ユーザーにこそこのようなハイエンドモデルを使ってもらうべきでしょうね。
フィルターには自動車を美しく写す光の効果を与えるものが4種類入っています。このあたりは自動車メーカーのスマホらしい遊び心でしょう。
なお、自社開発したAIアシスタント「NOMI」も機能アップされており、GPT機能を持つ「NOMI GPT」が搭載されました。スマホに語りかけるだけでチャット形式でいろいろな回答をしてくれます。
AI開発まで行っているのがNIOの他社と異なるところで、NIO Phoneはその自社AIをEVに乗車中だけではなく生活の中で使ってもらおうとしているわけです。EVビジネスが順調であれば、NIO Phoneも今後毎年モデルチェンジした新製品が投入されていくでしょう。
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