“激安折りたたみスマホ”はなぜ生まれた? ZTEジャパンに聞く「nubia」ブランド拡大の戦略(3/3 ページ)
ZTEジャパンが投入する「nubia Flip 2」は、Y!mobileにMNPをすれば、2年後に下取りに出した際の実質負担額が2万円を下回る。端末はどちらかといえばキャリア向けの専用モデルが多かったZTEが、その戦略を大きく転換している格好だ。コンシューマー市場をどのように開拓していくのか。
“1円スマホ”にもAI機能を搭載、クラウド処理で対応
―― 今回は、AIも売りにしていました。これについて、お話ししていただけますか。
周氏 nubia Flip 2は、「AI for All」というスローガンに従っています。AIというと、ハイエンド機にしか載らないと思われるかもしれませんが、一般消費者でもAIを体験できるよう、コストパフォーマンスの高い端末にも搭載していく方針です。デジタルの世界においてギャップを解消し、より利便性を与えていけるよう努めていきます。
―― ミッドレンジ以下となると、処理をクラウドに任せる形になるのでしょうか。
黄氏 はい。現状では、端末で処理をするとそれなりに高いパフォーマンスを求められます。ですから、(ミッドレンジやエントリーモデルの)nubia Flip 2やnubia S 5Gは、クラウドでAIを動かす技術を使っています。今後の技術の進歩によっては、端末内部で処理できるようになるかもしれませんが、現状はクラウドがメインですね。
―― nubia S 5Gにも載っているのはいいですね。
周氏 nubia S 5Gは一括1円(MNPの場合)なので、手ごろな価格を求めているユーザーに最適な端末です。先ほどお話ししたAI for Allという観点があるので、“1円端末”にもAI機能は搭載していきます。
―― クラウドだと、プライバシーを気にするユーザーもいそうですが、この辺はどうお考えでしょうか。
周氏 もちろん、クラウドも日本市場の法令は順守しています。いかに一般消費者のデータを保護するかは、われわれの使命です。こうしたコンプライアンスに関しては、グローバルでも強化しています。
黄氏 そこには結構なコストもかけています。当然ですが、現地の法令は順守しながら展開していきます。
ハイエンドモデルの投入はどうなる?
―― 最近、街中でスマホを置いて、ダンスの動画を撮っている若い女性をよく見かけます。恐らくTikTok用だと思いますが、個人的にはnubia Flip 2とも相性がよさそうだと感じています。そういった世代に特化したマーケティングはやっていくのでしょうか。
周氏 SNSでキャンペーンを実施したり、InstagramでもPR活動を行ったりしています。い世代に特化したキャンペーンも、裏で計画中です。
nubia Flip 2は女性とも相性がいいですね。折りたためば小さなカバンに入れられますし、キラキラしていたり、斜めがけできたりと、いろいろなケースもあります。
―― ケースも出していくんですね。
周氏 サードパーティーと一緒に作っているところです。また、現在購入キャンペーンをやっていて、レザーのかわいいケースもプレゼントしています。
―― エントリーモデルが多かった中、nubia Flipシリーズで徐々に上のレンジを攻めています。今後、ハイエンドモデルまで投入していく計画はあるのでしょうか。
周氏 nubia Z70 Ultraというハイエンドモデルは、日本でも出ています。ただ、ちょっとややこしいのですが、現状では販路が異なっています(代理店のFastlane Japanが販売)。パートナーとの協業で日本のマーケットに投入している形ですが、モノとしてはnubiaシリーズです。
黄氏 同じnubiaであることは間違いないので、われわれがやっているマーケティング活動も無駄にはならないと思っています。
―― とはいえ、ZTEジャパン経由でキャリアからも出してほしいですね。ハイエンドながら価格もそこまで高くないので、端末購入プログラムと組み合わせれば買いやすくなりそうな気がしました。
黄氏 その声はぜひ、キャリアさんに届けてください(笑)。
取材を終えて:ブレずに後継を出し続けてほしい 販路の分散も課題
グローバルで展開している“nubia一本化戦略”に基づき、日本でフリップ型スマホの拡大に本腰を入れたZTE。助走期間だった2024年に対し、2025年はキャリア向けもnubiaにブランドを変更し、テレビCMなどまで使って認知度の拡大を図っている。フリップ型のスマホは若い世代への訴求力があるため、課題であるコストの高さを解決できているnubia Flip 2は、2024年のnubia Flip 5G(Libero Flip)以上に人気が出そうだ。
一方で、nubiaブランドはまだスタートしたばかり。現時点では、知る人ぞ知る存在だ。広告展開を増やせば認知度は上がる可能性もあるが、同じブランドで10年以上スマホを販売している競合も多い。一朝一夕で、そこに追い付くのはなかなか難しい。ここに近道はないため、ブレずに後継機を出し続けることが重要になる。販路が分かれてしまっているため、ラインアップとしてnubiaの全体像を見せられていないのも今後の課題といえる。
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