mineoが「50GBプラン」を新設、使い放題を「5Mbps/200kbps」にアップデートした理由 格安競争からの脱却へ:MVNOに聞く(3/3 ページ)
低容量のデータ通信が主戦場だったMVNOだが、徐々に中・大容量のプランが拡充されつつある。3月に容量別の料金プラン「マイピタ」に50GBのコースを新設するオプテージのmineoも、その1社だ。50GBプランの新設と同時に、mineoは速度別の料金プランの最上位コースとなる「マイそく プレミアム」の通信速度を見直す。
半年間990円のキャンペーン終了後も、離脱率は思ったほど高くない
―― 今回は主に大容量の追加や改定でしたが、MVNOはどちらかというと小容量のユーザーが多いという話も聞きます。他社と比べるとmineoはここがやや割高になっていますが、改定などのご予定はありますか。
松田氏 目の前の予定としていえることはありませんが、マイピタをどういう構成にしていくかは、考えていかなければいけないことです。価格だけを見ると、競争力を失っている部分もあります。ただ、1GB、5GBでもパケット放題 Plusを入れることで、5GBなり10GBなりを使える環境にはあります。実際、そういう形で使っている方も多い。単純に、1GBでこの値段というわけではないところもあります。
前田氏 マイネ王では動画の最後にパケットをつけたり、視聴人数に応じてパケットをプレゼントしたりという企画をやっています。マイネ王をフル活用している人は、1GBプランでも5GBぐらい使えたりする。独自性をもって差別化していくことは、常に意識していきたいと考えています。
―― ユーザー数も、やはり1GBや5GBプランが多いのでしょうか。
松田氏 今はキャンペーンをやっているので20GBに申し込む人が多いですが、それがないと、1GBや5GBが多くの割合を占めます。総量でいえば、5GBまでが主流です。ただしキャンペーンの結果、大きな容量を契約する方が増えているので、使い方として両極端になっているところはありますね。
―― 20GBまでどのプランでも990円だと、普通20GBを選びますよね(笑)。
松田氏 そうですね(笑)。
前田氏 ただ、昨年はキャンペーンが終わったあと1GBに変更するといった方は、想定を下回っていました。逆に、20GBのままにしている方が多かったですね。その意味だと、もともと20GBを使う層にリーチすることができたキャンペーンでした。
―― キャンペーンは毎年何らかの形でやっていますが、一昨年(2023年)とはどう違ったのでしょうか。
前田氏 一昨年は、1GBを110円で使えるところに訴求ポイントを置いていました。ただ、それだと低容量の方が多く集まり、110円のまま離脱してしまう方も多かった。
―― 逆に20GBまで990円にするキャンペーンは、ちゃんと使う方が多かったので継続したということですね。
松田氏 その通りです。離脱率も思っていたより高くありません。
―― キャンペーンは新設の50GBプランも対象ですが、ここはさすがに990円にはできなかったんですね。
松田氏 そこまではさすがに怖くて踏み込めませんでした。トラフィックを読めないところがあります。
前田氏 ただ、割引額は20GBと一緒にしています。
取材を終えて:低容量、低価格一辺倒の競争環境からの脱却へ
マイピタの50GBプラン投入の背景には、ユーザー層を多様化していきたいmineoの意思があるように感じた。利用者からの声を受けてというより、将来の動向をにらんで導入したものだったエピソードも、それを裏づける。既存ユーザーを上位プランに誘導していくのが主な狙いではなく、mineo(やMVNOに)欠けていた若年層を獲得する動きの一環だったというわけだ。
20GBまで990円にそろえるキャンペーンも、狙いは同じだ。収益が上がりづらい低容量、低価格一辺倒の競争環境から脱却しようとしていることもうかがえる。MVNOが健全に収益を上げていくうえで、こうした取り組みは重要だ。一方で、データ容量を上げると、今度は大手キャリアがライバルになってくる。価格以外の面で、どう差別化していくのかがますます重要になりそうだ。
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