Nothingの4万円台スマホ「CMF Phone 2 Pro」は日本向けに“フルカスタマイズ” 楽天モバイルとの協業も加速:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
英Nothing Technologyは、7月24日に「CMF Phone 2 Pro」を日本で発売した。「CMF」はNothingのサブブランド的な位置付けのシリーズで、Nothing Phoneよりもスペックや価格を抑えつつ、拡張性を持たせたデザインなどで差別化を図っている。同機種を投入するNothingや、MNOで独占販売を続ける楽天モバイルの戦略に迫る。
Nothingとの協業を深める楽天モバイル、端末購入プログラムは今後の課題か
CMF Phone 2 Proに関するもう1つのトピックは、楽天モバイルが採用したことだ。同社は、Nothing Phone (3a)でNothing製品の取り扱いを開始し、実店舗にも専用コーナーを設けるなど、販売に力を注いでいる。スタートアップのNothingにとって、新規参入事業者の楽天モバイルは比較的付き合いやすいキャリアだ。“特別扱い”された成果は出ており、販売も好調だという。
実際、楽天モバイルが製品販売サイト上で公開している6月の総合ランキングでは、Androidの中で4位につけており、2万円台でキャンペーンを利用すると1円になるエントリーモデルに十分対抗できている。6月9日には、販売店舗を家電量販店内の楽天モバイルショップにも拡大し、計128店舗での取り扱いになった。
CMF Phone 2 Proでも、他社からの乗り換えで1万6000ポイントを還元するキャンペーンを実施しており、実質価格は3万1900円まで下がる。リーズナブルな端末を求めるユーザー層が厚い楽天モバイルとは相性のいい端末なだけに、Nothing Phone (3a)以上のヒットにつながることも期待できる。
他社と比べ、Androidのラインアップが手薄だった楽天モバイルだが、2025年になって、そのバリエーションを急速に拡大している。先に挙げたように、4月にはNothing Phone (3a)の独占販売を開始。7月には、日本市場で特に人気の高いGoogleの「Pixel 9a」を導入した。NothingのCMF Phone 2 Proは、それに続く1台になる。一方で、Androidを販売していく上ではまだ課題もある。
中でも大きいのが、端末購入プログラムだ。楽天モバイルは、iPhoneで「楽天モバイル買い替え超トクプログラム」を導入しており、Pixel 9aにもこれを拡大した。他社と同様、25カ月目以降の下取りを条件に残債を免除するという仕組みだ。機種によっては前半24回分の支払いを軽くして、毎月の負担額を下げる価格が設定されている。Nothing Phone (3a)やCMF Phone 2 Proには、このような販売方法が適用されない。
Nothingは新規参入メーカーであるがゆえに端末のリセールバリューが低く、こうした販売手法を取りづらい側面もあるという。とはいえ、Nothingはキャリアへの販路を拡大したばかり。楽天モバイルで成果を出していけば、その他のキャリアに拡大していける可能性も出てくる。楽天モバイルにとっても手薄だったAndroidを広げるための武器になっているだけに、双方にとってメリットの大きい協業だったといえそうだ。
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