「Pixel 10/10 Pro」実力検証 スマホ体験を変える2つの新機能、驚きの「100倍ズーム」は使える?(3/3 ページ)
8月28日に発売されるPixel 10シリーズをレビューする。ハードウェアの進化以上に大きいのが、Tensor G5を生かしたAIの進化だ。肩透かしを食った機能もあったが、実用性の高い新機能もあった。カメラはプロモデルが備える、最大100倍のズームも試した。
驚きの100倍ズームを試した Pixel 10 Proはありかなしか?
もう1つはっきり効果が出たAI機能が、プロモデル限定で搭載された最大100倍ズームを可能にする「超解像ズーム Pro」だ。Pixel 10 Pro/Pro XLは光学5倍、ピクセルビニングを解除した切り出しを合わせて10倍まで引き延ばしなしでズームができるが、それ以上の倍率にはデジタルズームを掛け合わせる。30倍までだとこれまでと同じ「超解像ズーム」だが、超解像ズーム Proはそれを超えた際に有効になる。
拡散モデルとは、イラストや写真を生成するAIで使われているモデル。元の映像を見ながら、足りない部分を生成AIで補っているということを意味しており、今までの超解像ズームとは仕組みが大きく異なる。効果的なのは50倍前後に設定した場合で、デジタルズームがかかっているとは思えないほど、シャキッとした写真を撮ることができる。
逆に、最大倍率の100倍までズームすると、出力される写真のクオリティーに大きなブレがあった。明らかにAIが描いたイラスト風の写真になってしまったり、謎の文字が出力されていたりと、写真と呼ぶには厳しい画像になってしまうことも多い。その意味では、使いどころはかなり選ぶ。C2PAに対応しており、Googleフォトなどで来歴は見ることができるものの、SNSなどでシェアする際には一言説明があった方がいいだろう。
また、倫理的な問題もあってか、人物の顔には超解像ズーム Proがかからないようになっているため、被写体を選ぶ側面がある。ただし、超解像ズーム Proがかかると、AI補正後と補正前、両方の写真が残る仕組みになっている。明らかにおかしな“写真のような何か”になってしまった場合には、補正前の元画像を使えばいい。こうした仕様からは、Google側も何が問題になるかはよく分かっていることがうかがえた。
人物を撮るだけであれば、切り出しを掛け合わせた10倍でも十分、被写体に寄ることができ、クオリティーも高い。あえて超解像ズームや超解像ズーム Proを使う必要性は薄い。しかもPixel 10シリーズはISPなどの改善によって、写真のクオリティーが上がっている。色の正確さや、夜景を撮ったときのノイズの少なさなども、かなり優秀な仕上がりだ。
AIを使った派手な新機能に目を奪われがちだが、スマホとしての“地の力”もきちんと底上げされているといえる。これは、カメラ以外でもだ。操作感はいいし、Android 16でユーザーインタフェースに「Material 3 Expressive」を採用したことにより、分かりやすさも上がっている。AIにはまだまだ粗削りなところがあるものの、それをどう使っていくかを考える面白さもある。スマホに新しさを求めている人には、オススメできそうなシリーズだ。
(製品協力:Google Japan)
関連記事
「Pixel 10/10 Pro」はスマホの使い方をどう変えるのか “スペックシートに表れない”進化が差別化に
Pixel 10シリーズは、外観やスペックなどが前モデルの「Pixel 9」から大きく変わっていないようにも見える。全面に打ち出されているのはAIのGeminiだ。こうした端末のコンセプトから、Googleの戦略や狙いを読み解いていきたい。独自チップ「Tensor G5」が可能にする機能が差別化要素になる。「Pixel 10/10 Pro」は何が進化した? 先代Pixel 9シリーズ3機種とスペックを比較する
Gogoleは8月21日1時(日本時間)、スマートフォンの新製品「Pixel 10」シリーズを発表した。日本でも同日から予約を受け付け、8月28日に発売する。1年前に登場したPixel 9/9 Pro/9 Pro XLから何が変わったのか。「Google Pixel 10 Pro/10 Pro XL」8月28日発売 望遠カメラが最大100倍の“超解像ズーム Pro“に進化
グーグルが、Pixelシリーズの最新モデル「Pixel 10 Pro」と「Pixel 10 Pro XL」を8月28日に発売する。Pixel 10よりも高いカメラ性能やメモリ、バッテリー性能を実現している。AIによる画像復元技術を活用し、最大100倍の超解像ズーム Proを利用できる。「Google Pixel 10」が8月28日に日本上陸 望遠カメラをプラスして12万8900円から
Googleの最新スマートフォン「Pixel 10シリーズ」が発表された。メインストリームを担う「Pixel 10」は、アウトカメラに「望遠」を加えたトリプル構成になっていることが特徴だ。【訂正】Google Play Pointsで「Pixel 10 Pro/Pro XL」の値引きオファー ゴールド以上のランクが対象で最大3万円引き
Google Playのポイントプログラムにおいて、上位ランクの一部ユーザーに対して「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」の購入時に使えるクーポンが配信されている。【追記】
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.