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クアルコムがSnapdragonの型番に「8」を使い続ける理由――超お得意様市場をあらゆる面で意識石川温のスマホ業界新聞

Qualcommが「Snapdragon 8 Elite Gen 5」をリリースした。「Snapdragon 8 Elite」の後継SoCなのだが、いきなり「Gen 5」ということで命名法にツッコミが来そうだが、「Snapdragon 8」シリーズの第5世代だと考えると理解はできる。それにしても、なぜこのような分かりづらい命名をしているのだろうか。

 クアルコムはSnapdragon Summit 2025で最新のSoCである「Snapdragon 8 Elite Gen 5」を発表した。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年9月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。

 Snapdragonの8シリーズといえば、3世代までは「Snapdragon 8 Gen 3」として「Gen」がついていたが、昨年の第4世代では「Snapdragon 8 Elite」になっていた。

 世代の表記を辞めるのかと思いきや、今年「Gen 5」として5世代目であることが改めて強調されたのであった。

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 この名称変更の迷走っぷりに対して、CMO(チーフマーケティング・オフィサー)であるドン・マクガイア氏は「昨年、Eliteをつけたときには世代をタグ付けすると混乱を招くとして世代名はつけなかった。しかし、ブランドの一貫性と名称の寿命を延ばすために世代ナンバリングを復活させた」と語った。

 世代番号をつけることで、新しい名前を考える必要がなくなり、ストーリーテリングに一貫性を持たせることができるというのがメリットなのだという。

 クアルコムではSNSから「第4世代はどうなったのか」と突っ込まれないよう、事前にブログやビデオで命名の経緯を説明していたのであった。

 以前から再三、指摘をしているのだが、クアルコムは型番や名称の付け方が本当に下手くそだ。8シリーズで後から出てくるものが、いったいどれくらいの性能なのかがさっぱりわからなかったりする。

 プレミアムな位置づけとして「Elite」をつけたかったようだが、結局、1年が経過して、混乱を招き、ネーミングが長くなっただけという気がしてならない。

 ただ、興味深かったのが「なぜ8という数字にこだわるのか」という点だ。

 ドン・マクガイア氏によれば「中国市場が特に重要であり、アジア圏でとても幸運な数字である8を採用している」とのことであった。

 クアルコムにとって、XiaomiやOPPOなどがいる中国市場は超重要なマーケットだ。実際、Snapdragon Summitは中国のインフルエンサーが参加したいという動機を与えるために、あえてハワイ・マウイ島で毎年開催されている。

 クリスチアーノ・アモン氏の基調講演も朝一ではなく午後3時から開始となっている。これも、同時中継されている中国で視聴しやすいからなのだ(ハワイ時間の朝一だと、中国では深夜から早朝になってしまう)。

 トランプ政権では、中国と距離を置こうとしているが、クアルコムにとっては中国は重要な顧客であることは間違いない。

 クアルコムにとって「8」という数字は、中国市場にコミットしている証ともいえるのだ。

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