衛星で先行するKDDIとT-Mobileがタッグ “広大な米国圏外エリア”をStarlinkでカバー
KDDIは11月17日、米T-Mobileと連携し、au Starlink Directのローミングを年度内に始める方針を示した。日米のStarlink対応エリアで相互利用でき、圏外でも写真共有や緊急時の位置情報送信が可能になる。対象はau契約者と、UQ mobile・povoなどの専用プラン+契約者となる。
KDDIは11月17日、米通信キャリアのT-Mobileと連携し、au Starlink Directのローミング提供を年度内に開始する方針を示した。空が見えれば圏外でも通信できる衛星直通サービスを日米のStarlink対応エリアで相互に使えるようにする取り組みで、グランドキャニオンなど広大な国土の観光地でも、写真付きメッセージの共有や緊急時の位置情報送信が可能になる。対象はau契約者と、UQ mobileやpovoなど他社回線利用者のうち、専用プラン+の契約者となる。
KDDIは11月17日、米通信キャリアのT-Mobileと連携し、au Starlink Directのローミング提供を年度内に開始する方針を示した。写真は17日の発表会に登壇したKDDIの松田浩路社長
KDDI松田浩路社長が語る「衛星直通サービスの手応え」
松田浩路社長は、同サービスが4月に国内で初めて実現した際の手応えを振り返り、8月には世界初のデータ通信に対応したことを強調した。データ通信によりGoogleマップ、ウェザーニュース、YAMAPなどのアプリが利用可能となり、山間部や海上での移動時に安心につながると説明した。動画では、事前の地図データがなくてもナビゲーションが動作し、登山ルート表示や天気予報の確認、AIエージェントによる問い合わせにも対応する様子が示された。松田氏は「あるとないとでは大違い」との利用者の声を紹介し、漁業従事者や山間部に住む家族との連絡手段として日常的に役立ち始めていることをアピールした。
速度への懸念についても、「実証を重ねた結果、アプリが軽快に動作し、Xでの動画再生も確認できた」とし、安定した利用環境に手応えを示した。
松田氏は、4月に国内初として提供した手応えを振り返り、8月には世界初のデータ通信対応を実現したと強調した。Googleマップなどが山間部や海上でも使え、動画では地図なしでのナビ作動や天気確認、AIへの質問も可能な様子を紹介した。速度も実証で軽快に動作し、Xの動画再生も確認できたとして手応えを示した
衛星とスマホの直通通信で先行する企業同士のタッグ
松田氏は、Starlinkを自国内で最初に導入したT-Mobileと、同様に日本で最初に導入したKDDIが協力することで、衛星を使ったスマートフォン直通通信の先行企業同士がタッグを組む意義を強調した。広大な米国では都市部から離れた国立公園や保護区に圏外が残っており、今回のローミングにより、そこでもStarlink Directを利用できるようになる。日米双方に対応することで、旅行者が圏外に不安を抱えずに移動でき、写真共有やメッセージ送受信、緊急時の現在地共有といった基本機能が途切れず確保されるメリットが生まれる。
松田氏は、米国で最初に導入したT-Mobileと日本で最初に導入したKDDIが組む意義を強調した。米国の国立公園など圏外地域でもStarlink Directが使え、日米対応により旅行中も写真共有や緊急時の位置共有など基本機能を安心して利用できるようになる
au Starlink Direct海外ローミングの利用料金は?
また松田氏は、T-Mobileの利用者が日本で同様の体験を得られるよう、制度と技術の調整を進めていると説明した。さらに、質疑応答では、米国でのローミング利用に追加料金は発生しないとし、今後も無料で提供する方向性で調整していると述べた。
T-Mobileもいち早くStarlinkを活用 T-Mobileのステファン・ベレー最高戦略責任者からのビデオメッセージ
T-Mobileのステファン・ベレー最高戦略責任者はビデオメッセージで、両社の関係を「重要なパートナーシップ」であると位置付け、衛星直通通信の立ち上げを先導してきた関係であることを紹介した。2025年の米国での成果として、2月のβサービス開始、メッセージ機能の拡張、Pixel 10でのデータ対応、WhatsAppなど主要アプリの動作確認、Text-to-911対応を紹介し、「We won't stop」という企業姿勢のもとで接続範囲を広げていくと述べた。
私は、次世代ネットワークや衛星接続から、「接続し続ける」ことの意味を再定義する新しいビジネスモデルに至るまで、当社の長期的なビジョンを導く役割を担っています。私の使命は、技術革新から市場投入計画まで、接続に境界がない状態にすることです。KDDIとの協力は、T-Satellite(T-Mobileの衛星通信サービス)を実現する上で重要な部分を占めてきました。T-MobileとKDDIは、両社の衛星ネットワークにおけるローミングを拡大し、衛星の枠を超えた新たな協力の領域を共に模索していきます。なぜなら、「どこでもつながる」ことは単なる野心ではなく、私たちが構築している未来そのものだからです。
私たちは2025年、非常に短期間で多くのことを達成しました。まず2月、米国最大のスポーツイベントであるスーパーボウルの期間中にテレビCMを放映し、βサービスを開始しました。何百万人ものお客さまがサインアップし、基本的なメッセージングや緊急速報のためにβサービスを利用しました。
その初期の成功を受け、わずか5カ月後にはβ版を終了し、商用サービスを開始しました。反応は素晴らしく、私たちは添付ファイルを含むリッチメッセージングにもサービスを拡大することで、新たな技術的マイルストーンを達成したことを証明しました。
それ以来、マイルストーンは急速なペースで達成され続けています。KDDIと共に、最初のデバイスであるPixel 10でデータサービスを開始し、現在ではWhatsApp、iMessage、Google Messages、X(旧Twitter)など、さまざまなデバイスで数十のアプリを動作させています。そしてごく最近では、Text-to-911(テキストによる緊急通報)サービスも開始しました。
松田氏と彼のチームのパートナーシップ、そして「何が可能か」を追求するという共通のコミットメントに対し、特に感謝を申し上げたいと思います。KDDIは、T-Mobileがシームレスなグローバル接続のビジョンを前進させ続ける上で、信頼できる同盟相手であり続けます。
T-Mobileには「We won't stop(われわれは止まらない)」という言葉があります。そして、衛星からデバイスへの直接通信において、私たちはまだ始まったばかりです。過去数年間にわたり、この旅路を共にしてくれた素晴らしいパートナーであるKDDIに心から感謝します。そして、ご視聴ありがとうございました。それでは、ライブイベント会場にお戻しします。また近いうちにお会いしましょう。
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