ニュース

ドコモ、通信品質改善に向けて複数ベンダー基地局のLTE/5Gの運用を自動化 ノキアのシステム採用で

NTTドコモは、無線アクセスネットワーク(RAN)において、複数ベンダーの基地局装置で構成されるLTEネットワークとLTEネットワークとノキア製5G基地局の運用自動化を実現した。ノキア製SON(Self-Organizing Network)システム「MantaRay SON」によって可能になった。LTEと5Gの運用を自動化することで、通信品質の改善が期待される。

 NTTドコモは11月25日、無線アクセスネットワーク(RAN)において、複数ベンダーの基地局装置で構成されるLTEネットワークとノキア製5G基地局の運用自動化を実現したことを発表した。

 ドコモはこれまで、LTEネットワークでは専用システムで運用してきたが、ノキア製5G基地局の導入に伴い、新たな運用システムを導入したことで、LTEと5G双方の運用システム連携が必要となった。導入当初、このシステム連携は手動で行っており、効率的な運用や迅速な品質改善が難しいことが課題だった。

 そこでドコモは、LTE/5Gのシステム連携を自動化すべく、ノキア製の「MantaRay SON(Self-Organizing Network)」を2025年11月から導入した。MantaRay SONは、ネットワーク運用者が介在することなく、ネットワークの状態変化を検出、設定変更の必要性を判断、適切な設定変更を実行するクローズドループの自律制御を実現するという。

advertisement

LTEと5Gのシステム連携を自動化するイメージ

 MantaRay SONはLTE側の設定変更を検出し、適切なパラメーター変更を判断。その後、5Gネットワークの設定変更を実行するという運用自動化を実現した。自動化により、ネットワーク運用者がこれまで手動で行っていた作業に要する時間を最大90%削減でき、よりタイムリーで、きめ細かな品質改善が可能になるとしている。

 また、ネットワーク運用者が介在しない自律制御によって、人為ミスによる通信障害を抑止する効果も見込まれる。

 ドコモは今後、自社で開発するOREX SMO(基地局装置の無線リソース制御などを行うソフトウェア)との連携や、O-RANのレファレンスモデルを採用した他社製LTE/5G基地局装置の運用自動化にも取り組む。これにより、オープンRANのエコシステムを活用しながら、マルチベンダーRANにて、より高度な自動化システムの実現を目指す。

 MantaRay SONを含むMantaRayソリューションが備えるAI機能も活用し、自然言語によるネットワーク運用の自動化も目指す。

 ドコモでは2023年初頭から通信品質の低下が起きており、その原因として、エリアごとのチューニングが不十分だったことや、LTE側にトラフィックが集中していることが挙がっている。同社は5Gエリアの拡大や基地局側のチューニングによって対策を打ってきたが、依然として「ドコモがつながりにくい」という声は聞こえる(筆者の環境も同様である)。MantaRay SONの採用でLTEと5Gの切り替え自動化がさらに進むことで、より多くのトラフィックを5Gに集め、通信品質が向上することが期待される。


ドコモの通信品質低下の要因(画像は2023年4月の説明会のもの)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.