なぜ今、小型スマホなのか? 5.3型「Mode1 Pocket」誕生の舞台裏 あえて本体を厚く、5G非対応にしたワケ(2/2 ページ)
P-UP Worldが11月11日、独自ブランドの新型スマホ「Mode1 Pocket」を発売した。全国のテルル等で販売され、主流とは一線を画すコンセプトで注目を集める。商品開発を担当した梅澤俊之氏への取材を通じ、異彩を放つ本機が誕生した背景と開発への執念に近いこだわりをひもとく。
着信ランプも搭載、マクロカメラは「ルーペ」としても使える
Mode1 Pocketには、大手メーカーのスマートフォンからは姿を消しつつある機能が、ユーザーの熱烈な要望を受けて数多く搭載されている。その筆頭が、ストラップホール、イヤフォンジャック、そして充電を知らせるパイロットランプだ。梅澤氏はこれらを半分冗談めかして「ロストテクノロジー」と呼ぶが、その実用性は極めて高い。特に充電ランプは、画面を点灯させずとも充電完了を確認できる機能として、シニア層を中心に根強い支持がある。
アウトカメラは6400万画素の標準レンズと、ルーペのように細部を拡大して近接撮影可能なマクロレンズの2眼構成だ。マクロレンズは「老眼鏡を出すまでもないが、細かい文字を確認したい」というルーペ代わりの需要を想定したもので、低画素のマクロレンズで撮影するよりも、高画素で捉えた画像を拡大する方が鮮明に文字を読み取れるという検証結果に基づいている。
3万円台という価格と市場での受容 ニッチ市場の熱量
3万5200円からという価格設定は、昨今のミドルレンジスマートフォンが5万円を超える中で、競争力が高いだろう。しかし、単に安さだけを売りにしているわけではない。Mode1 Pocketの購入層は、スマートフォンを1台で全て完結させる層だけでなく、2台目のサブ端末として運用する層も多いという。メイン端末には大型で高性能なモデルを使いつつ、移動中や仕事中のクイックな連絡用、あるいは音楽プレイヤーやテザリング用として、このコンパクトなサイズが重宝されている。
フィーチャーフォンのような通話メインの端末を狙っているわけではなく、2台目のサブ端末として運用する層に応えるような位置付けだ。KDDIが2018年に発売した「INFOBAR xv」(画像=左)とMode1 Pocket(画像=右)
全国のテルル店舗では、実際に端末を手に取ることができるため、スペック表だけでは伝わらない「持ち心地」を確認してから購入するユーザーがいるようだ。大手キャリアのラインアップが画一化する中で、こうした「とがった」製品が3万円台で手に入ることは、ユーザーにとって選択の自由を取り戻す体験となっている。販売状況は堅調であり、ニッチな需要を確実に捉えている手応えがあるという。
Mode1シリーズの周期と今後の展望、ブランド10周年の原点回帰
Mode1ブランドは2025年で立ち上げから10周年を迎えた。今作のカラーバリエーションであるKUROとSHIRO、そしてアクセントとして配されたシャンパンゴールドの色味は、初代モデルのデザインを意識したものだ。これは単なる懐古趣味ではなく、ブランドとしてのアイデンティティーを再確認する原点回帰の象徴だ。背面にはブランド伝統のカーボン柄を施し、角度によって表情を変える質感にもこだわり抜いている。
今後の製品投入時期については、スマートフォンの進化速度が緩やかになる中で、やみくもに新機種を連発するのではなく、技術の成熟とユーザーの真のニーズが合致したタイミングを見極めていく構えだ。AndroidのGMS認証、いわゆるGoogleの認証基準は年々厳格化しており、小画面端末や物理キー搭載端末の維持は容易ではない。しかし、Mode1はこれからも「誰にとっても100点のスマホ」ではなく、「特定の誰かにとっての120点のスマホ」を目指し続ける。
取材を終えて:Mode1 Pocketは単なる小型端末ではなく、スマホの使い勝手を再定義するもの
Mode1 Pocketという端末は、スペックの数値だけで語るべき存在ではない。大型化し、高価になりすぎた現代のスマートフォンに対する、静かだが力強い異議申し立てである。扱いやすいプロセッサ、4G特化によるスタミナの確保、そして1cmの厚みがもたらす確かなグリップ感。これらは全て、使い勝手を優先した結果だ。
Mode1 Pocketは単なる小型端末ではなく、スマートフォンの使い勝手を再定義しようとしていることが分かる。今後、ソフトウェアのアップデートを通じて、120Hzの高リフレッシュレート液晶を生かしたさらなる操作感の向上や、カメラのチューニングなど、継続的な熟成が期待される。ニッチであることを誇りとし、ユーザーの手になじむ道具を作り続けるMode1の姿勢は、画一化された市場に一石を投じ続けるだろう。
1998年に足立区の携帯販売店から始動し、併売店「テルル」の展開で成長。2016年に自社スマホ「Mode1」を投入した通信分野の強みを核に、現在は飲食、学童保育、モーターサイクルなど多角的な事業を展開する。M&Aも積極的に行い、通信の枠を超えて多彩なライフスタイルを支える総合企業として進化を続けている
関連記事
ポケットに収まる小型スマホ「Mode1 Pocket」発売 5.3型ディスプレイ搭載、防水対応で約3.5万円から
P-UP Worldは、11月11日に自社オリジナルブランドのスマートフォン「Mode1 Pocket」を発売。ポケットに収まる5.3型ディスプレイや標準&マクロの2眼カメラも搭載し、6GB/128GBモデルと8GB/256GBモデルで展開する。“コンパクトスマホ”は絶滅するのか? 変わりゆく「小型の定義」と「市場ニーズ」
ここ最近、新製品ではめっきり見る機会が減ってしまったコンパクトスマホ。「変わりつつあるコンパクトスマホの定義」について考えてみたい。いまや「iPhone 15」もコンパクトの部類に入りつつある。ソニーが「Xperia 5」新機種を見送った理由 小型スマホは終焉を迎えるのか
ソニーマーケティングは9月10日、スマートフォン「Xperia」の販売状況や戦略について、オンラインで説明した。例年秋頃に登場する「Xperia 5 V」の新製品のアナウンスはなかった。ソニーは説明会の中で、今期、Xperia 5 Vの販売を継続する理由などを明らかにした。本音レビュー:「iPhone 12 mini」から「iPhone 13 mini」に乗り換えて分かったこと
9月24日に発売された「iPhone 13 mini」だが、前モデルの「iPhone 12 mini」とはどう違うのか。サイズやカメラ機能、バッテリーの持続時間を、筆者なりに検証してみた。“パナソニックのケータイ”が令和に復活──USB Type-C充電や約8日間の待ち受けが可、「KX-TF400」を欧州市場向けに発売
パナソニックは2025年7月、新たな4G対応フィーチャーフォン「KX-TF400」を欧州市場向けに発売する。欧州の主要小売店、Amazon、パナソニックの公式サイトなどが取り扱う予定で、価格は49.90ユーロ(約50ポンド)を見込む。通話やメッセージといった基本機能に特化した設計となっている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.