5Gマネタイズの切り札「ネットワークスライシング」始動 ドコモとソフトバンクの戦略差、海外の先行事例を読み解く:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
国内でも5G SAの普及に伴い、ネットワークを仮想的に分割するネットワークスライシングの商用化が進む。ドコモビジネスやソフトバンクは、法人向けやイベント対策での帯域確保や低遅延通信の提供を開始した。今後は海外事例のように、コンシューマー向けゲームや動画配信への応用による収益化が期待される。
ソフトバンクはF1で高度化に挑戦 5つのスライスを同時に提供
ただ、ドコモビジネスの5Gスライシングは現状だと、安定通信のために帯域の確保を主にしており、低遅延や安定性向上など、他のパラメーターを用いたスライスは用意されていない。単一設定のスライスを企業側が活用する形だ。また、端末内のアプリごとに適用するスライスを切り分ける「URSP(User equipment Route Selection Policy)」も導入されていない。
ソフトバンクも法人向けのサービスとしてネットワークスライシングを活用したプライベート5G(共有型)を提供しているが、F1日本グランプリの会場ではそれを高度化。「これまで個別に培ってきたノウハウを、同時に実行している」(テクノロジーユニット統括 インフラ技術戦略室 室長 藤野矩之氏)という。
F1日本グランプリでは、2つの技術を組み合わせた。1つが、本稿でテーマにしているネットワークスライシングだ。しかも、「今回の日本グランプリでは5つのスライスを同時に提供した」(同)。1つ目が高品質な5G SA用のスライスで、これは一般ユーザーのスマホにも適用されるものだ。
2つ目が、会場で提供するXRコンテンツ用のスライスで、「コンテンツとして必要な速度が決まっているので、なるべくそこを担保し、遅延も最適化できるパラメーターが入っている」(同)。
これに近いのが、ミリ波を使った映像伝送のスライスだが、「非常に容量が大きい」(同)のが特徴。ミリ波を使った上で、スライスも切り分けている。ミリ波は、もう1つのスライスでも活用しており、こちらはルーター(CPE)で電波を受信した上で、Wi-Fiに変換して一般ユーザーにも提供する。
これら4つのスライスは、いずれも一定の容量を確保している点は共通しており、遅延の要件やミリ波を使うかどうかが差分になるが、もう1つは決済端末用。「ものすごいキャパシティーが必要なのではなく、確実に遅延なくつながることが重要視される」(同)ため、そのパラメーターを当てはめている。
また、「ネットワークの状況は時々刻々と変わるので、それを適切にコントロールするのが重要」(同)になる。そのため、各スライスのネットワーク状況を把握し、「1分ごとに自動で最適化することに取り組んでいる」(同)。あくまで実証実験という位置付けだが、一般ユーザーの回線も含めてスライスを提供し、より高度な商用サービスの展開も目指している。
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