携帯の“小技”を探せ──計算機編(2/2 ページ)
よく使うアクセサリの筆頭であるにも関わらず、実はメーカーごとの差が大きいのが計算機機能。桁表示や計算状態表示、アクセス方法のしやすさなど、比べてみると大きな違いが見られた。
携帯電話ならではの“電卓機能”
さてここまでは“100円電卓に負けない”ための機能。続いて“携帯ならでは”の電卓機能を見ていく。考えられるのは、次の3つだ。
- 電卓起動の容易さ
- 計算結果のコピー
- 画面を生かした表示
携帯の電卓機能を考えた場合、むやみやたらとさまざまな演算やメモリ機能を付け加えるのは考え物だ。もちろん「M+」や「%」程度はあってもいいが、「√」や三角関数、ベキ乗計算、Logなども入れて関数電卓や金融電卓のようになっても仕方ない。ハイエンド端末にはJavaなどのアプリ機能があるのだから、そちらでフォローすべきだろう。
それよりも携帯であることを生かした電卓機能があるはずだ。
まずは「電卓起動の容易さ」。数字を押せばいきなり計算できる電卓と違い、携帯では最初にメニューから「電卓」を立ち上げなくてはいけない場合が多い。
凝っているのは最近のシャープ製端末。待受画面から数字を入力してソフトキーの「電卓」を押せば電卓画面に早変わりする(1月20日の記事参照)。カシオの「A5403CA」もデスクトップに電卓を貼り付けられるのは秀逸。元祖デスクトップであるはずのNEC製端末は電卓を貼り付けられない。
「計算結果のコピー」も、携帯が小型コンピュータであることを考えると、できて当然だ。特にFOMA端末はマルチタスク機能を備えており、メールを書いている最中などに別途電卓を起動できる。これで計算結果がコピーできなければ、何のためのマルチタスクと言われても仕方ない。
とはいえ、コピーができる機種も案外少なそうだ。手持ちで可能だったのは、「A1301S」(ソニー・エリクソン)、「A5303H」「W11H」(日立)、「F2102V」(富士通)程度。意外と残念な結果だった。
そして「画面を生かした表示」は今後の課題だろう。卓上電卓などよりも遥かに高精細で見やすい表示が可能な昨今の携帯だが、どうも表示が工夫されているとは考えにくいからだ。
ユーザーインタフェースの考え方として、実際のもの──ここでは卓上電卓 に操作体系を似せるのは重要なことだが、画面の使い方がどうももったいない。数字キーを打てば数字が入力されることをわざわざ画面で案内する必要がどれだけあるのだろう?
面白い取り組みだと感じたのが、少々古いが「F503iS」に、ネイティブ電卓の代わりとしてプリインストールされていた電卓アプリだ。計算途中に入力した数字や演算子の履歴が画面に表示される。ただそれだけなのだが、たくさんの足し算をするときなどに確認でき、非常に便利なのだ。
左が「F503iS」にプリインストールされていたiアプリの電卓。履歴が残るため、確認しやすく、縦長の携帯液晶をうまく生かしたつくりになっている。中央と右は「A5304T」の「割カン」機能。こうした特定機能に特化した電卓も、あると便利だ
単に世にある100円電卓を真似るだけでなく、ユーザーの使い勝手を考えることは大切なこと。よく使うアクセサリの筆頭に挙げられる電卓だけに、大幅な進歩を期待したい。
ちなみに、多くの電卓機能が「電卓」という名称だが、基本機能を押さえ入力方法も工夫してある「V601SH」の電卓機能の名称が「簡易電卓」なのには恐れ入った。電卓メーカーとしての意地なのだろうか。
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