「“最強中の最強”、VIERAケータイでシェアトップを奪還する」──パナソニック モバイルの脇社長
パナソニック モバイルは11月5日、ドコモが11月1日に発表した新機種を含む携帯新製品説明会を実施。登壇した同社の脇治社長が、新機種に“VIERA”ブランドを冠した理由や思い入れ、そして今後の狙いを語った。
「VIERAケータイは“最強中の最強”。携帯シェアのナンバーワンを奪還する」──。パナソニック モバイルコミュニケーションズは11月5日、都内で携帯新製品説明会を開催。会見したパナソニック モバイル代表取締役社長の脇治氏はこう声高に宣言した。
11月1日に行った新機種発表会でNTTドコモは、主力の冬商戦向け「905iシリーズ」を10機種、2007年度中に投入する「705iシリーズ」13機種の計23機種を発表。パナソニック モバイルはこのうち、905iシリーズ2機種(P905i、P905iTV)、705iシリーズ3機種(P705i、P705iμ、PROSOLID μ)の計5機種も用意する。
今回の同社製端末のポイントは、ワンセグ端末を3機種用意し、そのうち2機種にパナソニックの薄型テレビブランド名を冠した“VIERAケータイ”として投入するところにある。
“VIERAケータイ”とする条件として同社は、1)VIERAの高画質化技術を搭載、2)ワンセグ視聴に最適なスタイルを採用、3)VIERAとの連携を課した。
過去に同社は、「P901iTV」(2006年2月発売)と「P903iTV」(2007年2月発売)の2機種のワンセグ携帯を開発し、今回の一連のワンセグ端末は3世代目。2世代目のP903iTVは、VIERAシリーズに採用する高画質化回路 PEAKSプロセッサーをモバイル用にチューニングした「モバイルPEAKSプロセッサー」を搭載するとともに、VIERAテレビ開発チームの協力のもと“テレビ”の絵づくりを追求した“半”VIERAケータイと呼びうるものだったが、“VIERA”の名そのものは与えられなかった。VIERAブランドが欲求するレベルは、それほど高いものなのかと感じさせられた。
脇社長は今回の“VIERAケータイ”投入にあたり、「松下電器本体から“VIERA”ブランドを冠することに関して何か条件があったわけではなく、グループとして“VIERA”を名乗るに恥じないよう、ハードルを自ら高く設定した」と述べる。上記条件のうち、さまざまな視聴スタイルを提案できる“視聴に最適なスタイルを採用する”ことを特に重要なポイントに設定したという(そのため、ワンセグを搭載するものの、プレーンな折りたたみスタイルである「P705i」は“VIERAケータイ”ではない)。そもそも同社自身で開発当初から高いハードルを課したこともあるが、松下電器の最重要ブランドの1つを冠するために相当の努力もあったであろうことは伺える。
P905iは、同社製端末伝統のワンプッシュオープンボタンを継承しながらディスプレイが横にも開く“Wオープンスタイル”を新たに採用。ワンセグ視聴はもちろん、動画視聴やゲーム、PCサイト閲覧なども“手に持って”あるいは“机に置いて”といったように、横向きのまま各種コンテンツを楽しめる。P905iTVは、ワンセグ携帯最大級の3.5インチディスプレイと独自のフレーム補間機能を搭載。さらにステレオスピーカー付きの卓上ホルダを用意し、“ミニシアター”としても活用できる。家では「VIERA」、外では「VIERAケータイ」という「いつでも“VIERA”のある生活」を想定する。
VIERAとの連携は、同社グループが推進するSDカードを軸にした「携帯カメラで撮影した写真をVIERAでスライドショー再生する」といった活用例や、携帯ゲーム画面をテレビに出力して大画面で楽しむといった利用シーンを提案。そのほか、Bluetoothを活用することでSDオーディオコンポ「D-dock」や携帯オーディオプレーヤー「D-Snap」、カーナビゲーションシステム「Strada」など、VIERA以外の同社製品群とも巧みに連携を図り、グループ間のシナジー効果も狙う考えだ。
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ドコモの2007年冬商戦向け製品となる905iシリーズ(905i企画端末は除く)は、ワンセグ、大画面・高解像度ディスプレイ、HSDPA(FOMAハイスピード)、国際ローミング(3G/GSM)、フルブラウザを全機種標準で搭載する機能の高さが特徴の1つ。中でもP905iは、高画質や新スタイル、高画素カメラのほか、パナソニックの総合力を生かした省電力の取り組み(デジタル家電向けの統合プラットフォーム「Uniphier」搭載)やAV連携など独自の使いやすさを盛り込んだ。同社は、「まさに“最強中の最強”の端末に仕上がった」「国内携帯トップシェア獲得への起爆剤にする」(脇社長)と自信を見せている。
国内の携帯メーカーはここ数年、シャープの強さが際だっている。MM総研調べの2007年上期(2004年4月〜9月)のメーカーシェアによると、シャープのシェアは26.2%/659万台出荷で、2位以下に大差を付けている。
かつて同社(当時、松下通信工業)は2000年度まで長年首位、かつ30%以上のシェアを獲得するトップメーカーだったが、2001年度にシェアトップを譲り、2006年上期には4位まで落ちる(ただし、2006年通期では2位に挽回)など、やや低迷する状態が続いている。2007年上半期のシェアは13.8%/348万台出荷でシャープに次ぐ2位ではあるが、その差は12.4ポイントと大きく、逆に3位の富士通や4位の東芝とは大きな差はない。
その状況は、満を持して投入する“VIERAケータイ”で打破できるか。“AQUOSケータイ”などで好調のシャープ1人勝ち状態は、“VIERAケータイ”で奪還──今回の2007年度下半期投入モデルに「Woooケータイ W53H」や「Cyber-shotケータイ SO903iCS」なども登場することを含めて、家電メーカーによるブランド競争は今後、携帯業界にもいっそう飛び火して火花を散らしそうな様相だ。
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