電子マネー「Edy」はどこへ行くのか――ビットワレット社長・眞鍋マリオ氏インタビュー:神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)
サービス開始から7年がたつEdy。流通系・交通系など各事業者の電子マネーが出そろい、FeliCa決済の普及が進んだことで、状況は大きく変化した。小額決済中心のビジネスは厳しいと言われる中で、電子マネービジネス専業のビットワレットは、今後どのような戦略を取るのだろうか?
小額決済中心のビジネスモデルで黒字化は可能なのか
――Edyはこれまで電子マネーのスキームを世の中に広めてきたわけですが、その上で、次のステップとして重要なのがビットワレットの黒字化だと思います。今のところ7期連続の赤字という状況が続いていますが、Edy、そして電子マネーに対する信頼性を担保する上でも、ビットワレットが黒字化する必要があります。
そこで質問なのですが、現在のEdyは加盟店からの決済手数料を収益の柱としていますが、小額決済がメーンであることと、チャージ部分でコストがかかることを考えますと、収益性はあまり高くないように見えます。今後、黒字化に向けて、どのような収益モデルを考えているのか教えてください。
眞鍋 Edyの加盟店インフラの拡大という点では、現時点でかなり整備されています。今後も加盟店を増やしてはいきますが、これまでほど「場の拡大」をしていかなければならないというわけではありませんから、投資効率は上がっていくと考えています。
また、この8年で利用規模や各セグメントごとの効率においてノウハウが蓄積されていますので、電子決済の部分だけで(事業を)回していける自信はついてきています。
――小額決済だけでは収益拡大に限界があるという見方もありますが。
眞鍋 ですから、(Edyの)電子決済だけで赤字にならない、回していける見込みが出てきたということです。その上で、さらに利益を載せていく仕組みを検討しています。直近では、パートナーの皆さまと協力して、この課題に取り組んでいきたいと考えています。とはいえ、まだ電子マネーは成長分野ですので、今は加盟店やユーザーを増やしていくのが重要だという認識です。
――黒字化のタイミングはいつになるのですか。
眞鍋 具体的に「いつ」とは言えません。ただ、近々、この数年の中では見えてきています。ある程度の(加盟店やユーザーの)ボリュームが出てくれば、それなりにバランスすると考えていますので、(黒字化は)そのタイミングだと思っています。
2010年も電子マネーのリーダーでありたい
―― 2010年に向けた展望は?
眞鍋 電子マネーにキャズム※があるかどうかは社内で議論になるのですが、もし仮にキャズムがあるとしたら、それを2010年には超えていなければならない。
交通系電子マネーなどは交通の周辺で使われているわけですが、Edyが目指しているのは決済のプラットホーム。それを目指して準備を進めています。
それらを総合しまして、2010年の段階でも、Edyは電子マネーのリーダーでありたいと思います。
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