第1回 なぜケータイが“高くなった”のか:ケータイの「分離プラン」を改めて考える(2/2 ページ)
2007年から2008年にかけて導入されたいわゆる「分離プラン」により、携帯電話の購入方法や料金プランが大きく変わった。そこにはどんなメリットとデメリットがあるのか、各社が導入した分離プランの仕組みの違いから、現状を改めて考えてみよう。
ケータイが“高くなった”わけ
さて、この分離プランの導入で多くの人が感じたのは「端末価格が高くなってしまった」ということだろう。実際には月々の利用料金が下がるので、端末購入時に高くなった分は後で相殺されるわけだが、いきなり店頭の表示価格が数万円も高くなれば、心理的にそう感じてしまうことも否めない。
なお、機種変更に関しても「新機種を値引き販売することで、現ユーザーの継続契約や解約の防止」「新サービスに対応する最新機種は月々の利用料金(ARPU)の向上も見込める」といった収益上のメリットに加え、新しい通信方式や追加された周波数に対応した端末を利用してもらわないとネットワークの利用効率が向上しないなどといった事情から、従来から(新規契約よりはやや小額ではあるが)販売奨励金をもとにした値引きが行われていた。そういった意味で、分離プランになると新規契約はもちろん、機種変更も店頭の表示価格は高くなった。
通信キャリアにとって、端末の販売数が減ることにはプラスの要素とマイナスの要素がある。端末販売にかかるコストをおさえられる一方で、単純に端末販売数が減少すれば量産効果も少なくなり、端末価格がさらに高くなる悪循環を招く危険性を秘めている。これはユーザーの不利益に直結する。
そこで、分離プランに合わせて導入されたのが通信キャリア主導の割賦販売──つまり、端末代金の分割払い制度だ。端末購入時に必要な代金を不要、もしくは頭金とのみするならば、購入時の金額負担とともに心理的な負担も減る。どのキャリアも分割払い手数料を不要とし、分割払いが完了する前に機種変更を行った場合にも、未払い分は引き続き分割払いを可能にする(一気に残金を支払わずに済む)というような分割払いのデメリットを打ち消す手法も取り入れた。
2009年現在、多くの人は分割払いを選択している。もちろん中には、割賦を好まない人や何らかの事情で審査に通らなかった人、あるいは家電量販店のポイント還元を有効活用するといった理由で一括払いを選択する人もいる。基本は一括払いも分割払いも端末代金の総額は同じであり、支払方法をユーザーに一任するというスタイルだ。
次回は、キャリアごとにやや異なる「分離プラン」がどのように導入され、どの点が異なるかについて触れていく。
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