ショップ、ユーザー、サービスの正体に迫る――高級携帯電話ブランド「Vertu」(2/2 ページ)
2月19日に銀座に旗艦店をオープンした「Vertu」は、67万円〜600万円という超高級ケータイを販売することで話題を集めている。VERTU端末は実際にどんなユーザーが購入しているのか。また、ショップと端末は日本向けにどのような工夫を施したのか。Vertu日本事業プレジデントの伴陽一郎氏に話を聞いた。
日本一のバラやプライベートジェットの手配も――VERTU コンシェルジュ
VERTU Clubの中でも特に目を引くサービスが「VERTU コンシェルジュ」だ。「コンシェルジュ」の名が付くサービスとしてはドコモも「iコンシェル」を提供しているが、これとは全く別のもの。VERTU コンシェルジュは、ユーザーが実生活で行う業務を“本物のコンシェルジュ”が代行してくれるリアルなサービスとなる。
「日本でテストサービスをしたところ、ホテルの手配をしてほしい、日本一のバラを届けてほしい、といった要望がありました。また、海外ではプライベートジェットを用意したこともあります。今東京にいて、明日パリに着くので、搭乗する前にホテルやレストランを予約しておいてほしい、といった要望も受けられます」(伴氏)
基本的にどんな要望も受け付けるが、「法律に反する依頼はもちろん、(コンシェルジュの範囲を超える)法律の相談などは受けられません」(伴氏)
VERTU コンシェルジュは24時間365日利用でき、要望は専用のコンシェルジュキーからライフスタイルマネージャーに依頼できる。依頼は基本的に音声で行い、返答は音声かメールで来る。日本語での対応ももちろん可能。海外でVERTU Clubのサービスを利用しても、すべて日本語で対応してもらえる。
なお、VERTU コンシェルジュの料金について、ライフスタイルマネージャーとの通話料は、VERTU Clubの「1カ月1200分の通話料」に含まれるが、ジェット機の利用料金やバラの代金といった実費はユーザーの負担になる。
NokiaとVertuは対極にいる
Vertuを傘下とするNokiaは日本事業の撤退を決定。これは国内外で携帯需要が減退していることが原因の1つだが、Vertu事業への影響はあったのだろうか。
「VertuはNokiaの事業部門の1つですが、それぞれが独立しており、端末からサービスまでNokiaとは全く異なります。あくまでVertuとして製品を開発し、展開しています。Nokiaの撤退について我々がコメントする立場にはありませんし、Nokiaが日本撤退を発表する前から、Vertuを日本で展開することは決めていました」と、伴氏はVertu事業にNokia撤退の影響はないことを強調した。
「VertuとNokiaのケータイは、そもそもターゲット層や価格帯が違います。Nokiaはマスマーケティングを展開していますが、Vertuはその対極にいます。VertuとNokiaは資本が同じというだけで、端末のデザインやコンセプト、製造者、工場などは異なります」と伴氏は話す。Vertuのターゲットユーザーである富裕層は、好不況に関わらず購入に動くという考えだ。
Vertuを日本で展開するにあたり、日本向けのカスタマイズも行った。「日本のユーザーが使いやすいよう、新しいソフトを開発しました。それもNokia端末に入れているソフトとは違います」と伴氏が話すように、“VERTUの日本端末”専用のソフトを採用した。
日本向けに工夫した点の1つとして、待受画面からワンタッチでメールとWebサイトを利用できるようにしたことが挙げられる。「日本人はメールとWebの使用頻度が高いという調査結果があったので、待受画面にメールとWebのコマンドが出るようにしました」(伴氏)
端末、サービス、料金――すべてが“規格外”といえるVERTU。手軽に購入できる商品ではないものの、「皆さんにとはいかない場合もありますが、ご希望があれば、セールスコンサルタントと一緒に端末を触れます」と伴氏が話すとおり、ショップで端末を手に取ることはできる。特に、シグネチャーのルビーを埋め込んだキーの押し心地は、ほかのケータイでは体感できない格別なものだった。興味のある人は、ショップに足を運んで“別世界のケータイ”を体験してみてはいかがだろうか。
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