ウィルコム再生 PHSは継続、XGPは新会社に譲渡
ウィルコムの再生支援に関する枠組みが正式に決まった。アドバンテッジパートナーズ(AP)が出資して既存のPHS事業はウィルコムが継続。XGPはソフトバンクとAPなどが出資する新会社が継承する。
ウィルコム、アドバンテッジパートナーズ、ソフトバンクの3社は3月12日、企業再生支援機構と4社間でウィルコムの再生支援に関する基本合意書を締結したと発表した。
基本合意書は、以下の5点についての合意となっている。
- ウィルコムはPHS事業を継続し、APファンドは、ウィルコムに対し出資する
- ソフトバンクは、ウィルコムのPHS事業におけるコスト削減について協力をする
- 企業再生支援機構はウィルコムに対し、再生のため必要な資金を融資する
- APファンドとソフトバンク等は、ウィルコムのXGP事業を譲り受ける
- 新会社は、基地局ロケーションを譲り受ける。ウィルコムは、当該ロケーションを共用しコストシナジーを図る
ウィルコムの既存株主の株式は、再生計画の認可決定後、100%減資で消却する。そのその後新たにAPファンドに対して3億円の第三者割当増資を実施し、PHS事業はAPファンドの支援の元で再生を図る。ソフトバンクは、ウィルコムと業務委託契約を結び、ネットワークの効率化やユーザーサポート運営などで支援し、コスト削減に協力する。金融債権者や社債債権者からは、約1145億円の金融支援(債権放棄)を受ける。負債総額1494億8700万円の大半がまた企業再生支援機構は、必要に応じてウィルコムの当面の事業運営資金(最大120億円)を融資する予定だ。
2.5GHz帯を利用したXGP事業は、APファンドとソフトバンクが新たに設立する会社に10億円で譲渡され、その会社が事業展開を図る。PHSやXGPの基地局ロケーション(約16万の基地局が配置されている土地などの設置場所)も、その大半が新会社に譲渡される。基地局の設備自体はウィルコムの資産として残り、ウィルコムは新会社と基地局の設置場所を共用することでコストの低減を図る計画だ。なお新会社は、ウィルコムにXGPをMVNO形式で提供することを検討する。
基地局ロケーションが“全部”譲渡されない理由は明らかにされていないが、XGPの展開にすべてのロケーションが必ずしも必要ではないからではないかと見られている。またロケーションの使用に際し、ウィルコムから新会社にレンタル料のようなものが発生するのかどうかもまだ未定で、今後の協議によって決まるとのこと。
新会社への出資額は、ソフトバンクが30億円、APファンドが50億円、その他が30億円となる。APファンドの出資のうち20億円は議決権を持たない優先株。ソフトバンクの出資額が30億円にとどまるのは、XGP事業に対し「3分の1ルール」が適用されるためだ。
ウィルコムの再生支援は、ソフトバンクグループの2010年3月期の連結業績にはほとんど影響がないという。すでに公表ずみの、2010年3月期の連結営業利益および連結フリーキャッシュフローの見通しも変更しない。
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