「AndroidもFirefoxもネットワークも気合いを入れていく」――KDDI・田中孝司社長単独インタビュー:石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)
800MHzプラチナバンドLTEを開始し、ネットワークの優位性をアピールしているKDDI。田中孝司社長に単独インタビューし、ネットワーク中心に話を聞いた。
―― コンテンツ関連はどうですか。
田中社長 アッパーレイヤーは別のところにやっていく。我々としては、社長になって、最初に新しいau、新しい自由をやってきたが、その当時からすると、iPhone、スマートバリュー、スマートパス、ネットワークはいろいろあったが、ようやく達成できた。もう一度、気合いを入れる。新しいシリーズでプロモーションしていく。ピクトも変わる。これからも変わっていくので、こうご期待。auは変わったということも考えていく。
―― 今回、Arrowsタブレットも投入しますが。
田中社長 Arrowsのタブレットでは指紋を使って、家族で使い分けるという機能もあるが、あんな感じになるのでは。タブレットを外に持ち出さないなら、10インチ系に移る。ビデオの連携が、ユースケースとしてそこまでいっていない。タブレット単独でコンテンツを見ているだけなので、次の世界は大きな画面、スマホ連携テレビとかに行くんだろうなと。
そう思うと、10インチがあってもいいと思っている。ニーズが7インチに集中しているのはわかっての話だが。
7インチにみんなが集中しているが、ここで10インチを否定してはいけないと思うのが、私の気持ち。
―― FirefoxOSスマホは順調に開発が進んでいるのでしょうか。
田中社長 やってますよ、気合いを入れて。いまのAndroidやiPhoneの似たようなユーザーインターフェイスでは誰も買わない。違うことができないといけない。そういうことをやっている。
―― AndroidにiOS、さらにFirefoxOSと、3つもプラットフォームを揃えて、それぞれの差別化、味付けはできますかね。
田中社長 そこは、あんまり考えていない。iPhoneがあって、Android、それ以外。いいんじゃないの。FirefoxOSに関しては、投入当初はお金儲けを考えていない。そんなことを考えてたら、(新しいチャレンジは)やれない。
―― 10月末には傘下のUQコミュニケーションズがWiMAX2+を始めます。
田中社長 個人的には元UQコミュニケーションズ社長だが、 WiMAX2プラスもエリアは狭いが、こうご期待。スピードも速くしていく。来年になったら、いい事があるかも知れないし。
―― (ここでいう「いい事」とはもちろんiPhoneのTD-LTE対応)いい事あるといいですね。
田中社長 (ネットワークについては前々から)いろいろ考えているんです。思い通りに行かないこともあるけど。
これまで、ネットデバイスといっても、ネットワークにつなぐのが大変だった。しかし、LTEになって、それなりのスピードになって、クラウドサービスも気にしなくてもよくて、(ローカルと)変わらなくなってきた。そういう意味で、こういう世界観に行きたいと思っていたが、ここにきて、徐々に環境が整い、本当に嬉しい。他社とも差がついているので、お客さんにコミュニケーションできれば、新しいauの世界観が出てくる。
Androidも気合いを入れて、すべて800MHz対応で、次の世界を感じてもらえるようになればいいかなと思っている。もし感じられるのであれば、auファンになってもらえるし、さらにブラッシュアップさせていきたい。
取材を終えて
9月のMNPが絶好調だったKDDI。世間的にはiPhone5キャッシュバック祭の成果のように見えるが、実際はiPhone5s/5cのプラチナバンドLTE対応に向けて着実に準備していた結果というのも大きいように思える。プラチナバンドLTE対応については、相当前からアップルと交渉を続けたことが実ったようだ。チップセットや通信のトレンドに精通していると、アップルも耳を傾けてくれるようで、アップルとの関係性が、今回の有利な立場を引き出したようだ。とにかく、田中プロがティム・クックCEOのことを「ティムちゃん」と呼んでいたのが印象的だった。
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