IGZO「3日間持つ省電力」だけじゃない――3面狭額縁「EDGEST」で差別化狙うシャープ:石川温のスマホ業界新聞
シャープは11月7日にメーカー説明会を開催。IGZO液晶など独自の技術をアピールする同社の事業展開について、システム事業本部長の長谷川氏に話を聞いた。
11月7日、シャープはメーカー説明会を開催した。IGZO液晶などで3日間以上持つ電池寿命だけでなく、ソフトバンクモバイル向け「AQUOS PHONE Xx」では3面狭額縁を「EDGEST」と名付けてアピールしていく。説明会後、通信システム事業統轄兼通信システム事業本部長の長谷川 祥典氏が囲みに応じた。
―― 亀山でスマートフォン用パネルを作るのはかなり難しいと聞くが、他と全く同じものが亀山でもできるのか。スペックが違ったりするのか。
長谷川氏 スペックが違います。私の担当ではないので、それ以上のお答えは……。
―― 今回の省電力を実現した液晶は従来通りの工場なのか。
長谷川氏 従来通りです。
―― 海外事業はどうするのか。
長谷川氏 国内がこういう状況なので、まずは国内を立て直す。チャンスがあれば、やってみたいと思う。まずは国内。
―― ソフトバンクがスプリントを買収したこともあり、そこについて行くという選択肢もあると思うが。
長谷川氏 個別の事業者さんに関してはコメントを差し控えたい。
(★ シャープのことが大好きなソフトバンクだけに、スプリントに進出しそうなのだけどな)
―― ソフトバンク向けがIGZOではなかったが、今後、IGZOを増やしていくはずではなかったのか。
長谷川氏 ソフトバンクさん向けはEDGESTというのを実現したかった。液晶としても早く作りたかったこともあり、IGZOではなく、CGシリコンで実現した。
(★ いずれ、IGZOでEDGESTということなのだろう)
―― IGZOに関しては、他社もパーツとして採用していくだろう。パーツ以外の差別化はどうするのか。アドバンテージはどれくらいあると見通しをしているのか。
長谷川氏 IGZOを我々以外の部署がいつ、どのように提供するのかはなんとも言えない。しかし、我々にはIGZO液晶を使うノウハウがある。他社がIGZOを使い始めたからと言って、すぐにノウハウが手に入るかと言えば難しい。IGZOだけでなく、他のところでも細かく制御しているノウハウがある。IGZOだけでは他社はまねできない。EDGESTも差別化ポイントになる。
(★ シャープの携帯電話事業部は、IGZOをいち早く使い、どのように設計し、制御すればIGZOのポテンシャルを最大限引き出せるかを理解している点が強い。このあたりのアドバンテージはまだまだ大きそう)
―― 電池はもって当たり前だと思うが、その先の世界観は何かないのか。
長谷川氏 電池持ちだけでなく、EDGEST、さらにカメラは簡単にきれいに撮れる、ユーザーサポートも重要で、メーカーサイトの強化も進めていきたい。
―― 他社はファブレットなどサイズのバリエーションを増やしているが、シャープとしてはファブレットの市場性をどう見ているか。
長谷川氏 スマートフォンとして使えるサイズ感がある。ユーザーさんがスマホだと思えるレベルで画面が大きくなるのかと。
―― 周辺機器も具体的に準備が進んでいるのか。
長谷川氏 キャリアさんにはご提案を進めている。今日時点で、これだとご紹介できるものはない。
―― シャープ独自ではないのか。
長谷川氏 シャープ独自も考えているが、キャリアさんにも扱ってもらうためにご提案をしている。
―― 7インチタブレットは安価なものが売れている一方で、AQUOS Padが堅調だと聞く。AQUOS Padを振り返ってみてどうか。
長谷川氏 今ドコモさん向けが出ているが、あれは音声をサポートしたことで、我々の期待以上に売れている。
(★ 7インチであっても、音声通話のニーズがあるとは驚き。かつて、7インチのGALAXY tabでも音声が使えることが話題となったが、やはり1台で通話もタブレット的な用途も使えるという点が魅力なのかも)
―― 電話として使われているのか。
長谷川氏 電話としても使われている。
―― おすすめ3機種に選ばれたが、見通しはどうか。
長谷川氏 今日(7日)発売なので、もうちょっと見てみないとわからない。いまはiPhoneが売れているが、我々としては期待はしている。
取材を終えて
長谷川さんは、元々携帯電話の人だったが、その後、液晶部門に行き、また戻ってきた方。秘密保持契約ばかりの液晶部門を経験しているせいか、囲みではとても口が固かった。海外展開の件、もうちょっとスプリント関連で攻めていきたかったけど、ピシャリと終わってしまった。なんとも残念。今度、囲みがあったときにはもうちょっと斬り込みたい。
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