ドコモのツートップ戦略と「iPhone」発売でメーカー激動の1年:ITmediaスタッフが選ぶ、2013年の“注目端末&トピック”(ライター太田編)(2/2 ページ)
2013年の出来事で印象深いのはNECカシオとパナソニック モバイルのスマホ撤退。そしてドコモのツートップ戦略とiPhone発売と続き、SIMフリースマホや格安SIMも話題となった。
正統進化を遂げた「iPhone 5s」「iPad Air」「iPad mini Retina」
ドコモユーザーも取り込んで、国内シェアを大きく伸ばしたiPhoneシリーズ。2013年はiPhone 5sとiPhone 5cという2機種が投入されたが、日本では前者に人気が集まってしまい、基本スペックがiPhone 5と変わらない後者は、いまひとつ振るわなかったようだ。
とはいえ実際に手にしてみると、iPhone 5cのポリカーボネートの質感は意外に安っぽくなく個人的には気に入っている。iPhone 5cは、いわゆるプラチナバンドLTEにも対応しているため、au版では特に通信の快適さがiPhone 5とは全く違う。筆者はauのiPhone 5からiPhone 5cに機種変更したのだが、スペックがほぼ同じでも、対応ネットワークが違うとここまで使い勝手に差が出るのかと驚いたほどだ。
日本で行われたAppleの発表会では、ドコモ、au、ソフトバンクのSIMが入った端末が、バランス良く展示されていた。「iPhone 5s」は5→5sのマイナーアップデートながら、4→4Sのときに比べると格段に変更点が多く、記事にしやすかった
対するiPhone 5sは、ゴールドやスペースグレイといった新色が投入されたものの、「見た目のインパクトはいまひとつ」というのが、最初に手にしたときの率直な感想だった。iPhoneは3Gから3GS、4から4Sと1年おきにメジャー&マイナーアップデートを繰り返していて、5から5sとなった2013年は、順番的にマイナーアップデートのタイミングにあたる。だから見た目のインパクトがないのも当然なのだが、一方でその中身には、デザイン一新のiOS 7に64bitプロセッサー&新イメージセンサー、指紋認証の搭載など、わくわくする要素がしっかりと詰まっていた。
iPhone 5s/5cの約1カ月後に発表された「iPad Air」と「iPad mini Retina」も、従来品から正統進化を遂げて、製品としての完成度が高く、どちらも欲しくなって困ってしまったほど。だが、筆者が悩み抜いて注文した「iPad mini Retina」128Gバイトのセルラーモデルは、残念なことにこの原稿を書いている今現在もまだ手元にない。この品不足はいつ解消されるのか、まったく気が遠くなりそうだ。
2014年にいよいよ本格化しそうなMVNO SIMとSIMフリースマホ
11月にはApple Storeで突然、iPhone 5s/5cのSIMロックフリー版が発売になったことも話題になった。今、日本で買える通信費の安価な低価格SIMは、そのほとんどがドコモのMVNOなので、実際にはドコモ版のiPhoneでもこれらのSIMが使える。あえてSIMフリー版を買ってメリットがあるのは、今のところ海外で現地のSIMを使いたい人くらいだろうが、影響力のあるメーカーがキャリアを通さずに直販を始めたという意味では、かなり大きな出来事だと思う。
ほかにもASUSの「PadFone 2」や、Googleの「Nexus 5」(LGエレクトロニクス製)など、SIMフリーのスマートフォンが割と普通に買えるようになったのも、今年の注目トピックの1つ。またMVNOからも安価なプランが続々リリースされ、低価格SIMもずいぶんと身近なものになったように思う。
2014年はさらに、BIGLOBEの「Wi-Fi ほぼスマホ」のように、独自調達したスマートフォンやタブレットと、低価格SIMをセットで販売するようなケースも増えるはず。そうなれば「SIMって何?」というユーザーにも分かりやすいし、スマートフォンを持つ際の選択肢が広がるのはもちろん、新たなメーカーも参入しやすくなる。BIGLOBEに「AQUOS PHONE」を提供するシャープのように、既存のメーカーも新たな販路を拡大することができるだろう。
2020年に東京オリンピックの開催も決まったことだし、海外から日本へ訪れる人のためにも、低価格SIMの広がりには大きく期待したい。
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