iOSでもAndroidでもない、「Windows Phone 8.1」という可能性:本田雅一のBuild 2014リポート(3/3 ページ)
Microsoftが米国で開催した開発者向けイベント「Build 2014」の基調講演では、新モバイルOS「Windows Phone 8.1」の説明に多くの時間が割かれた。モバイルOSではiOSとAndroidに後れをとっているWindows Phoneだが、ここへ来て期待感も高まりつつある。
Universal Windows Appsも“両面”に好作用
また既報の通り、Universal Windows Appsに対応したこともWindows Phone 8.1の大きな変更点だ。WindowsファミリーのPC、タブレット、スマートフォン向けに、それぞれ最適化した画面、ユーザーインタフェースデザインを与えておけば、どの種類の端末でも動作するユニバーサルアプリを作れる。
コンシューマー向けにもアプリのエコシステム活性化をもたらす可能性があるが、企業向けにもかなり魅力的な改良となるだろう。
PC、タブレット、スマートフォンがクラウドで結び付けられ、時と場合によって最適なデバイスを用いて仕事をする、複数デバイスを使い分ける利用スタイルは、今では一般的なものとなっている。
Universal Windows Appsのアプローチならば、企業は必要なアプリケーションを1つ開発するだけで、どの種類の端末を使う社員にも適切な情報や機能を与えられる。とりわけ日本の大企業ではBYOD(個人が所有する情報端末の業務利用)を認めていないところが多く、管理性の向上とともにWindows Phoneが受け入れられる素地となるだろう。
もっとも、やはり最終的に「残念」となるのは、日本でWindows Phone 8.1端末が販売される気配がないことだろうか。MicrosoftによるNokia買収は4月中にも完了する予定で、そうなれば日本で販売する芽が出てくるかもしれない。
しかし、少なくともこの春夏の新製品は、日本を意識した周波数バンドが選択されておらず、日本での展開はあまり考慮されていないと想像できる(とはいえ、Lumia 930はバンド1/バンド3の両方をサポートしているため、使おうと思えば、使えなくはない)。
技適申請などのハードルはあるが、例えば企業向けのPC、システム販売大手が、MVNOとなって端末および通信サービスとセットでソリューションを提供するといったことも不可能ではないだろう。Windows XPからの乗り換え需要が盛り上がったおかげで、企業向けPCの需要はしばらく低調な動きになることも予想される。その代わりとしてWindows Phoneに向かうのであれば……とも取材を通じて感じた(しばらく時間はかかりそうだが)。
さて、日本市場はともかく、Windows Phone 8.1はiOSやAndroidにはない活路を見つけ、ローエンド市場ではAndroidから一部の市場を奪うことも予想され、今後大きく伸びていく可能性があると思う。新端末発売後の動向に注目したい。
関連キーワード
Windows Phone | Windows Phone 8 | Lumia | Microsoft | Nokia(ノキア) | universal Windows apps | モバイルOS | 本田雅一
関連記事
- 本田雅一のBuild 2014リポート:「Windows 8.1 Update」速攻レビュー
Microsoftは米国で開催中の開発者向けイベント「Build 2014」にて、4月8日にWindows 8.1の最新アップデート「Windows 8.1 Update」を無償公開すると発表した。一般公開に先駆けて入手したこのアップデートを早速試してみた。 - 本田雅一のBuild 2014リポート:「Windowsの無料化」でスマホとタブレットの挽回を狙うMicrosoft
米Microsoftは4月2日(現地時間)、米国で開発者向けカンファレンス「Build 2014」を開催。基調講演では「小型端末向けWindowsの無料化」や、PCユーザーの使い勝手を高めた「Windows 8.1 Update」、そして「その先のWindows」も紹介された。 - スタート画面とデスクトップ画面の垣根を取り除く:一般提供前日にアピールする「8.1 Update」のいいところ
日本マイクロソフトが4月8日に、Windows 8.1 Updateの概要を紹介する説明会を行った。日本では、9日朝からWindows Updateからの提供が始まる予定だ。 - Microsoft、9型未満タブレットとスマホのWindowsを無料化
iOS/Androidに後れをとっているスマートフォンや小型タブレット市場での拡販を図るべく、Microsoftは9型未満タブレットとスマートフォンのWindowsを無料化する。 - キーボードとマウスで使いやすく進化:「Windows 8.1 Update」は4月8日公開
米Microsoftは現地時間の4月8日にWindows 8.1の大型アップデート「Windows 8.1 Update」を無償公開する。 - 鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1」:今後のMicrosoftに期待すること――「Build 2014」間もなく開催
Microsoftの開発者カンファレンス「Build 2014」が、4月2日(現地時間)より米カリフォルニア州サンフランシスコでスタートする。これまでの予想に加え、いくつか新発表に関する情報が集まってきたのでまとめてみたい。 - 木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1」:もうすぐ提供開始? Windows 8.1 Update 1の新機能をおさらい
もうすぐ提供開始? と予想されるWindows 8.1「Update 1」(仮称)。今回は改めて、変更・刷新が予定される5つの機能について復習しよう。 - 次期Windowsは2015年春登場? 開発コード名「Threshold」とは
Windows 8.1の“次”のウワサが、もうちらほらと聞こえてきた。開発コード名“Threshold”は何を示すものなのか、さらにWindows Phone 8.1はどうなるのか、現時点話題になっている情報をまとめた。 - 次期Windows「Threshold」続報──Microsoftは新OSでどう挽回するのか
前回、Windows 8.1に続く次期OSの開発コード名「Threshold」について紹介したが、以後も次々と関連情報が出てきている。以前の記事で検証不足として見送った話題も含め、再度Windowsを取り巻く最新情報を整理しよう。 - Windows 8.1特集
10月26日、ついに「Windows 8」が発売される! 生まれ変わったUI、Windows ストア、そしてタッチ対応のPC新モデルまで、Windows 8の注目記事と最新情報をお届け!!
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.