ドコモ夏モデルとVoLTEの狙い/好発進の「au WALLET」/au回線を活用した「mineo」の新しさ:石野純也のMobile Eye(5月12日〜23日)(2/3 ページ)
この2週間は、ドコモ夏モデルの発表や、ケイ・オプティコムのMVNO参入、au WALLETの開始など、モバイル業界のニュースがにぎわった。今回はこれら3つを取り上げたい。
申し込み数20万を超え、「au WALLET」が好発進
ドコモより一足先に発表会を行ったKDDIは、5月21日に「au WALLET」のサービスを開始した。ただし、システムは稼働させたが、肝心のカード自体は21日から生産を開始したという。事実上、今週末から来週にかけての開始と見てよさそうだ。なお、イベントにゲストとして駆け付けた所ジョージさん、藤本美貴さんには特別にカードが発行されており、利用もできたという。
21日のイベントに登壇した、取締役専務執行役員の石川雄三氏によると、21日時点でau WALLETカードの申し込み数が20万2299件に達したという。このペースは「5.3秒に1枚が増えている。今しゃべっている間にも枚数が増えている」と自信をのぞかせた。店頭での申し込みが21日からだったことを考えると、このペースはさらに上がる可能性がある。
au WALLETは、MasterCardと提携した、リアルな店舗で利用できるプリペイド型の電子マネー。「使われる回数でいえばクレジットカードの3割、相当な市民権を得てきた」(石川氏)という電子マネー市場を意識して開発されたサービスだ。マスターカードのクレジットカードと同様、磁気ストライプのカードとなり、同ブランドに対応するリーダーであれば、どこでも読み取ることができる。世界3810万の加盟店で使えるのは、そのためだ。
とはいえ、電子マネーはau WALLETが持つ2つの顔の、片面でしかない。au WALLETはauのポイントプログラムと連携しているためリアルな店舗でポイントを使えるのと同時に、リアルな店舗での買い物でポイントがたまる。これまでは、端末の買い替えや周辺機器の購入などにしか使い道のなかったポイントが、通貨に近い感覚で利用できるところにインパクトがある。
20万を超える申し込みは、キャンペーンが功を奏した。申し込みをするだけで1000円がプレゼントされたり、au WALLETへの初回チャージが10%増額されたりと、さまざまな施策を用意。これらを組み合わせれば、最大で総額4750円を受け取ることが可能だ。20万のユーザーすべてがこの額を受け取れるわけではないが、仮にこれらのキャンペーンを全員が活用したとすると、その額は9億5000万円。これに加えて抽選で当たる4億円(1万人に4万円)や、店舗でのポイント増額などを考えると、KDDIの気合の入れ方が理解できるだろう。
店舗での申し込みが始まった21日からはさらにペースが上がっている可能性もありそうだ。また、KDDIが三菱東京UFJ銀行と共同で設立したじぶん銀行とのシナジー効果もあったようだ。石川氏によると、「じぶん銀行の口座開設がデイリーで3〜4倍ぐらいに増えている」と言い、チャージ額が5%増えるキャンペーンが成功していたことが分かる。
au WALLETは、石川氏が「auポイントから移行していただくもの。自動移行はしないが、せっせとご案内を出している」と述べているように、既存のポイントプログラムを置き換えるものだ。また、「au WALLETにしかポイントもつかなくなる」(同)。auのポイントは4月利用分から付与が終了しており、11月末までにau ID発行の手続きをしないと消滅する予定だ。
ポイントはau IDさえ発行していれば「WALLETポイント」としてたまっていくが、カードを作ることでのデメリットは特にない(しいて言えば、財布の中のカードが1枚増えてかさばるぐらいだろう)。こうした事情を考えると、auポイントからWALLETポイントに移行したユーザーが、どうせならとカードを発行することも十分考えられる。発行数のペースはさらに上がっていきそうだ。
関連記事
- 緊急時節電機能も装備:NTTドコモ、国内初の「VoLTE」対応スマホ/タブレットなど2014夏モデルを発表――フィーチャーフォンの新機種も
ドコモが2014年夏モデルを発表した。スマートフォン4機種とタブレット2機種が「VoLTE」と効率のアップした「急速充電2」に対応。さらにすべてのスマホが、いざというときにバッテリーの駆動時間を延ばせる緊急時節電機能を装備した。 - 石川温のスマホ業界新聞:「光回線のセット割はこれからじっくり検討していきたい」――NTTドコモ加藤社長の囲みにツッコミ
2014年夏モデルやVoLTEの導入を発表したドコモ。発表会後に行われた加藤社長の囲みで今後の戦略について聞いてみた。 - まずは対応スマホから:ドコモ、国内初の「VoLTE」通話サービスを6月下旬に開始
NTTドコモが、LTEの高速データ通信ネットワークを利用する「VoLTE」を利用する音声通話サービスを6月下旬に開始すると発表した。対応スマートフォンと対応タブレットで順次利用可能になる。 - 従来の通話やほかのVoIPアプリとの違いは?――「VoLTE」の“ここ”が知りたい
ドコモが国内で初めて「VoLTE」による通話サービス提供を開始する。VoLTEとはどんなサービスなのか? 既存の3G通話との関係は? VoLTEの基本事項や素朴な疑問をまとめた。 - オンライン予約は20万件を突破――好調「au WALLET」、21日に店頭での申込受付を開始
KDDIが5月21日に、新たな電子マネーサービス「au WALLET」を正式にスタートした。これに伴い、KDDIデザイニングスタジオで記念セレモニーを実施。CMに出演する所ジョージさんや、1日店長の藤本美貴さんが駆け付けた。 - “いわゆる電子マネー”とはちょっと違う「au WALLET」
auポイントサービスも統合される「au WALLET」は、プリペイド電子マネーでありながら、クレジットカードと同じように使えるユニークなサービス。発表会場の展示内容などを含め、改めてその特徴を整理する。 - グッバイ・おサイフ:プリペイド型電子マネー機能を内包したKDDIの「au WALLET」 5月21日スタート
KDDIがプリペイド電子マネーサービスを含む新サービス「au WALLET」の詳細を発表した。「グッバイ・おサイフ」をキャッチフレーズに、新たな決済プラットフォームとポイントシステムを立ちあげる。 - ケイ・オプティコム、auのLTE網を使った格安SIM「mineo」発表 「DIGNO M」とのセットプランも
ケイ・オプティコムが月額980円で1Gバイトまで使える格安SIMサービス「mineo」を発表。auのLTE網を使ったMVNOサービスで、下り最大150Mbpsの高速通信が利用できる。京セラの「DIGNO M」もセット販売する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.