EDGESTに“IGZO”と“高品位”をプラス――「AQUOS Xx 304SH」が提供する新しい価値:開発陣に聞くシャープ夏モデル(ソフトバンク編)(2/2 ページ)
発表会を行わなかったソフトバンクから、唯一、夏モデルとして発売されたシャープ製スマートフォン「AQUOS Xx 304SH」。3辺狭額縁のEDGESTスタイルを継承するモデルだが、前機種からどのように進化したのか。開発陣にコンセプトや進化点をうかがった。
「検索ファインダー」と「かざして翻訳」も新たに搭載
EDGESTならではの機能の2つ目は「検索ファインダー」だ。304SHのカメラでかざした文字を認識して、それにひもづく情報をディスプレイに表示する。例えば「AQUOS」という文字をかざしてファインダー上をなぞると、AQUOSという文字を認識し、インターネットから検索された、AQUOSから連想されるキーワードや動画を、文字の周囲に表示する。「検索結果がビジュアル化されて表示されるのが特徴です。あたかも文字の周りに情報が集まってきたかのような、情報が重なって浮いているような体験をしていただける機能です」(吉田氏)
ファインダーに映る実際の映像に情報が重なるのでAR的な要素がある。「ARはEDGESTと相性がいい」と吉田氏が言う通り、最先端のスマートフォンらしい新しい体験ができる検索機能だ。
また、302SHでは英語にかざすとリアルタイムに日本語に翻訳される「翻訳ファインダー」を搭載していたが、非常に好評だったということで、304SHには、韓国語と中国語を同様の方法で日本語に翻訳する「かざして翻訳」というアプリも搭載した。英語は理解できても、中韓の言葉は分からないという人は多いはず。レストランのメニューなどを解読するのに役立ってくれるアプリだ。
「失敗しない」カメラに進化
カメラ自体の機能も進化しているが、その際のキーワードとなったのが「失敗しない」だ。
「誰もがスマートフォンのカメラを頻繁に使って、SNSに写真を投稿しています。ユーザーさんに対して工夫を求めるのではなく、こちらから自然ときれいに撮影できる手助けをしたい。シャープとしては、誰でも簡単にきれいに撮れることがスマートフォンのカメラの重要なポイントだと考えています」(吉田氏)
そこで搭載されたのが「リアルタイムHDR」。従来のスマートフォンに搭載されていたHDRは、複数枚の写真の露出を変えて撮影し、それを合成することで白飛びや黒つぶれのない写真が撮れる機能だが、304SHでは1枚の撮影で処理できるのが大きな特徴だ。1枚の写真なので、従来のHDRで発生しがちな合成ズレがなく、HDRをかけた状態で連写ができるというメリットがある。HDRの設定はオン・オフのほかにオートが追加され、気負いなく使える。
被写体に応じて最適な構図をアドバイスする「フレーミングアドバイザー」も新たに搭載された機能だ。カメラの機能がいくら進化しても、いい構図で撮れるかは人による。しかし、この機能を使うと、ユーザーが勉強しなくても、ただアドバイスに従って撮るだけでいい写真が撮れる。人物の顔と丸い皿の場合はオートで認識し、どこに持っていくとバランスのいい写真が撮れるかをガイドラインでアドバイス。ほかの被写体は、メインの被写体をタップすると、その被写体をどこに配置すればいいかをアドバイスする。
「SNSに料理の写真をアップする人は多いと思うんですが、全体をとらえようとして引いた写真にすると、おいしさが伝わらないことがあると思います。料理はお皿がはみ出るくらい近づいて撮った方がおいしそうに見えるということで、皿の枠を表示してアドバイスするようになっています」(吉田氏)
フォトライトも非常に明るくなったという。従来から暗い場所でも画像処理で明るい写真を撮影できる「NightCatch」という機能が搭載されていたが、304SHでは「NightCatch II」として、強化されたモバイルライトを組み合わせることで、近くにいる人物も背景の夜景も明るく鮮明に撮影できるようになった。
「これまで、フラッシュをたいてしまうと背景が真っ暗になり、フラッシュをたかないと人が見えないというように、背景と人も両方きれいに撮りたいというニーズに応えることができていなかったのですが、今回、高輝度なフラッシュとNightCatchの組み合わせで、暗所でもよりきれいに撮れるようになりました」(吉田氏)
4K2Kの動画撮影にも対応したが、304SHのディスプレイで見る限りは、フルHDで撮った動画ときれいさには差が出ない。304SHでは動画プレーヤーがピンチアウト/ピンチインの拡大・縮小に対応しているので、動画を拡大して見る楽しさが提案されている。
「4K2Kで撮った動画なら、拡大してもフルHD相当のきれいさのままで楽しめます。スマートフォンならではの操作で、新しい動画の楽しみ方を体験していただきたい。撮った後に、実はこんなものが映っていたとか、こんな顔をしていたんだとか、再発見につながるかなと思っています」(吉田氏)
シャープ端末ユーザーに好評の光学手ブレ補正にも304SHは対応していない。光学手ブレ補正専用のハードウェアが必要になるため、全体のバランスを考慮して304SHでは新しい機能を優先した形だ。
3辺狭額縁設計を施した関係で、インカメラはディスプレイの下部にあるので、自分撮りのときは端末を逆さまにした方が意図した画角で撮影できる。カメラを起動するとそのようなガイダンスが出るが、友だちのEDGESTスマートフォンを借りて撮るときに覚えていると便利かもしれない。なお、そのときは画面のどの部分をタッチしてもシャッターが切れる。
大画面でも指が届く「ワンハンドアシスト」
304SHは5.2型液晶を搭載しているが、EDGESTで上下左右が狭額縁なので、端末自体のサイズはディスプレイから考えると非常にコンパクトだ。ホールド感もいいが、やはり画面は大きいので、上部のアイコンやステータスバーから通知パネルを引き出す際は少々苦労する。
「片手で操作したいときに、上部に指が届かない方もいらっしゃると思います。そこで「ワンハンドアシスト」という画面表示を小さくする機能を搭載しました。基本的にどの画面でも、ワンアクションで縮小表示にできますので、片手使いするときに重宝していただけると考えています」(吉田氏)
また、ホームUIは「アプリ」「ウィジェット」「ショートカット」の3つのシートから構成される「3ラインホーム」から、304SHではウィジェットシートとショートカットシートが「デスクトップシート」に統合された「FEEL UXホーム」に変更された。
「3ラインホームは、誰でも使いやすい点を売りにしていましたが、スマートフォンユーザーが増える中、Android標準の概念を取り入れるべきだと考えるようになりました。そこで各シートはページごとのスクロールになり、ウィジェットとショートカットはデスクトップシートに混在できるようにしています。3ラインホームのフラットな構造を保ちながら、ユーザーが慣れてきているAndroid標準の流儀も取り入れたのが今回のFEEL UXホームになります」(吉田氏)
3ラインホームに慣れていると少し戸惑うかもしれないが、慣れるとシート枚数が減った分、シンプルになって分かりやすい。デスクトップシートはフリーレイアウトが可能で、自由に好きなものを配置でき、カスタマイズ性が高まっているのもスマートフォンに慣れてきた人にとってはうれしい部分だ。
これまで、ハイスペック端末として充実の機能が評価されてきたAQUOS Xxだが、304SHはデザインが最大の特徴というほどイメージを重視。機能そのものよりも、使うシーンを重視したカタログも従来とひと味違っているので、ショップなどでぜひご覧いただきたい。使い勝手のよさは当然のこととして、スマートフォンに高品位デザインを求める人に響く端末だ。
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