熟練した職人の業、栃木レザーとの出会い――スマホケース「HUKURO」の秘密をJACAJACA吉川社長に聞く:Smart Laboでも人気
アクセサリーショップ「Smart Labo」で特に人気だという、栃木レザーを使ったJACAJACA社のケース「HUKURO」シリーズ。現在はiPhone 6/6 Plus向けに本格展開している。JACAJACAの吉川社長に、同製品のこだわりを聞いた。
熟練の職人が作る品質と遊び心のあるデザインで、Smart Laboでも人気という、栃木レザーを使ったケース「HUKURO」。2014年12月に、Smart Laboの一部店舗でiPhone 6/6 Plus対応ケースを取り扱っていたが、現在はリアル店舗で本格展開中だ。同製品の魅力をJACAJACAの吉川社長に聞いた。
“HUKURO”アイテム最大の特徴は、裏面のバックグリップ。これまでの右手持ち用だけでなく、左手持ち用も開発している。
「最近のスマートフォンは大型化が進んでいます。大画面で見やすく、操作しやすいのは大きなメリットですが、その分持ちにくくなりました。特に、片手だけで操作する場合はかなり不安定になります。HUKUROのケースを着けることによって、見てくれのカッコ良さだけでなく、唯一の欠点ともいえる“持ちにくさ”を解消したいと思いました。
バックグリップがあることで、女性の小さな手でも片手で操作しやすくなります。スマートフォンの持ち方はさまざまで、右持ちの方、その逆の方、また片方の手で持ってもう片方の指で操作される方もいらっしゃいます。ですので、左右のタイプをお作りしました。バックグリップはデザイン的にもアクセントになって気に入っています」(吉川社長)
HUKUROで使われている技術の多くは特許庁で守られているが、それだけでなく、初代iPhoneから本革ケースを作ってきた経験と独自の技術や品質によって、ほかでは真似できないレベルにまで完成度を高めている。
iPhone 6/6 Plusケースは2種類を用意
ケースはユーザーのスタイルに合わせたオープンタイプと手帳タイプの2種類がある。
オープンタイプ
瞬時に画面が見られるオープンタイプは、iPhoneにジャストフィットするシンプルで無駄のないデザイン。スマートフォンの背面だけでなく、前面も覆う作りになっている。
手帳タイプ
落ち着いたスタイルの手帳タイプはフタの裏面にカードなどが収納でき、電車などで他人の視線からも守れる。開閉するフラップは、片手で操作しやすいように上部にある。フラップの開閉頻度の多さを考慮し、スナップボタンではなくマグネット仕様にすることで耐久性を確保した。また、開け閉めによるスマホ本体への衝撃も軽減する。
アクセントにもなって、高級感が際立つキレイなステッチは熟練した職人の成せる業。革と異なる色の糸を使うので、技術のごまかしが効かない。自然素材ならではの色合いも人気の理由だ。
「ブラックだけは思い切って赤いステッチにしてみました。黒を選ばれる方は無難でシックなのがお好みだと思うのですが、そんなお客様に少し挑戦してほしいというか……どこか遊び心を入れたかったんです」(吉川社長)
これでHUKUROファンになる人もいるという「チョイガケストラップ」
「スマートフォンのケースを作ったので、次はその居場所を考えてみたんです。特に男性はカバンを持たない時が多く、ポケットに入れるとかさばります。ネックストラップは仕事では便利なんですが、もっと普段でも使えるものがいい。ベルトやカバンに付けられて、電話がかかってきたときにサッと一瞬で取れること。
それで“ちょっと引っ掛けられる”ということに行き着きました。そのまま小指に引っ掛けて使えば落下防止にもなりますし。ちょっと掛けられるから“チョイガケ”というそのままの名前です」(吉川社長)
探し求めてやっと出会えたこだわりの革
「コンマ何ミリの正確性を実現できる金型を作る職人さんや、美しいステッチを縫えるミシンを組み立ててくれるミシン屋さん。とことんこだわる一流の人が私の周りにいてくれるのが財産でもあります。そして弊社の熟練した職人たちは、私が目指す品質に応えてくれます」(吉川社長)
吉川社長はもともと、工業製品のエンジニア。細部への厳しい探求ぶりがうかがえる。
栃木レザーは革になるまでに20以上の工程があり、その過程において化学薬品を一切使用しないベジタブルタンニングという製法で作られている。これは、土に埋めれば自然に帰るということだ。160ものピット槽が並ぶ工場で約20日間をかけてなめす。そうすることで繊維がしっかりと絡みつき、可変性に優れた強い革となり、オープンタイプの形を作ることが可能となる。
このすべての工程を終えるまでに1カ月半ほどかかるそうで、ここまでこだわって作っている工場は世界でも数社しかないらしい。染色では裏側までしっかりと染めており、切断面にベッタリとコバ液を塗らず、透明にうっすら塗ることで、自然に近いものに仕上がっている。裏面に厚くラッカー塗装をしてキズを隠すような革ではなく、自然の風合いを味わえる。
「天然素材ですので表面にキズもありますが、それほど避けずに裁断しています。広大な牧場で元気に育った牛だからこその表情ですので、個性として世界に1つだけのものだと思ってもらえたらうれしいです。そしてゴミになってしまう部分を減らすことにもつながります。とてももったいないことですので。いろいろな革を試し、ご縁があって、納得のいくこの栃木レザーにやっと出会いました。『これや!』と、涙が出るほど感動しました」(吉川社長)
JACA JACAという社名の由来
「よく聞かれるのですが、実はそれほど面白いエピソードもないんです。いろんなものをいろんな人たちとジャカジャカと作っていきたいなあ、という感じで付けたんですが、当時は社名を考えることよりも物作りなどに必死だったので、思い付きで決めた感じです」(吉川社長)
HUKURO(フクロ)というブランド名
「私たちが作るアイテムは、使ってくださるお客様に少しでも喜んでいただきたいと思い、機能とデザインの細部にまでとことんこだわっています。そこに私たちが作った証の刻印を押させていただくのですが、そこにもお客様に喜んでいただける機能を入れたかったんです。HUKUROアイテムを持っていただいている方に良いことがあるように、縁起の良いフクロウにしました。『福路、不苦労でありますように』という願いが込められています。知的で強くかっこいいフクロウが個人的にも好きで、アイテムのほとんどが袋物というダジャレも入っていますが(笑)」(吉川社長)
お客様に支えられて
「当店は本当にお客様に恵まれています。コアなファンの方も大勢いらっしゃいます。初期のころからすべてのモデルを購入してくださっている方、新商品に合わせて機種変更してらっしゃる方、全色購入される方もいらっしゃいます。本当にありがたいお言葉をよくいただきます。
最近、お客様の要望で、ぜんそくや狭心症の常備薬用ケースを作りました(Smart Laboでは取り扱っていない)。ネガティブになりやすいアイテムも、ケースを着けることでオシャレに楽しんでいただけます。ぶら下げることができるので、忘れやすいものが忘れないものに変わっていくんです。そのお客様にはとても喜んでいただきました。本当にやりがいがあります。見た目だけでなく、実際に使って喜んでいただけるものを作っていきたいと思っています」(吉川社長)
JACAJACAのオフィス。もともとは駐車場だったところを、吉川社長の友人のアーティスト集団とスタッフみんなで作り上げたそう。「スタッフが楽しんで仕事ができるような空間にしたい」(吉川社長)と、ショップのような内装になっている
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