複数国の訪問に便利なヨーロッパ周遊SIMを試す――海外プリペイドSIM導入マニュアル:2日間で3カ国を回ってみた(2/2 ページ)
陸続きで1日で数カ国の移動も簡単なヨーロッパ、各国で共通で利用できるプリペイドSIMは使い方によっては便利な存在だ。
乗り継ぎなどで3カ国を2日間で回るケース
今回試してみたのは香港のMVNO事業者、China Unicom Hong Kongが販売するヨーロッパ周遊タイプのプリペイドSIM。15日間1Gバイト利用可能で、33カ国で利用できる。このSIMは香港で販売されているが、Amazonでも購入可能だ。
SIMは15日間で使い切り、残高の追加はできない。再利用できないのは再度の訪問時に利用できず不便な気もするが、クレジットカードなどの登録もいらず、無用な自動残高追加などのトラブルもない。
使い方は簡単で、対応国に着いたらSIMをスマートフォンに入れ、APNを設定するだけ。また通信方式は3Gのみに対応、4Gには対応していない。SIMを入れた後通常はすぐに現地の電波を拾うのだが、なかなか拾わない場合は設定で4Gをオフにして3G/2Gモードにしたほうがいい。なお現地でどの事業者の電波を利用できるかの説明はないが、利用できない事業者の電波をつかむことはない。非定額料金の通信事業者に接続してしまい、別課金される。なんて心配は皆無だ。
なお各国でローミング利用するため、事前にデータローミング設定をオンにする必要がある。この点は注意が必要だ。またテザリング利用ができるため、ルーターにこのSIMを入れて使うことも可能。もちろんスマートフォンのテザリング機能を使って、ノートPCやタブレットをネットにつなぐこともできる。
APN設定はローミング専用SIMという特殊なものであることからか、自動では設定されなかった。仮に自動設定されてもデータ通信できない場合は、そのAPNは利用できないものだ。APNの設定は以下となる。
- APN:primary.m2m
- ユーザー名:なし
- パスワード:なし
さて今回はドイツ・フランクフルトでまずこのSIMを利用してみた。飛行機の機内、あるいは飛行機に乗る前にSIMをセットしておくのもいいが、今回は入国して荷物を受け取り、到着ロビーに出たところでSIMを入れて使い始めてみた。
電源投入後、数十秒ほどで電波を拾い、APN設定をすればすぐにデータ通信が可能に。通常ならば空港でSIM購入先を探すために右往左往してしまうのだが、その必要がないのはありがたい。とはいえ無料利用分は1Gバイトまで。滞在が短ければこのまま使い、数日に及ぶのであれば現地SIMを買うまでのつなぎ、としたほうがいいかもしれない。
さてドイツは乗り継ぎのためだったため数時間の滞在だった。次なる目的地はデンマークのコペンハーゲン。飛行機に乗る寸前までこのSIMを使い、コペンハーゲン到着後はすぐにスマートフォンの電源を入れる。すると今度はTelenor(テレノール)の電波をつかみ、すぐに3G回線で通信ができた。このように各国でそのまま利用できるプリペイドSIMはAPN設定を変える必要もなく、また飛行機を降りてすぐに使うことができるのが非常に便利だ。
そしてコペンハーゲンで1泊して翌日には英国・ロンドンへ。ロンドンでスマートフォンの電源を入れてキャッチしたネットワークはEEのものだった。こうして3カ国を駆け足で回って利用したデータ量は600Mバイト。実際にこのヨーロッパ周遊SIMを使ってみての感想はこんな感じだ。
- 各国でSIMを買わなくていいため利便性が高い
- データ残量を確認する手段がないので、SIMを他の端末に入れ替えるときは残量確認がしにくい
- 価格がやや割高。購入価格は約1万円。今回は3日間のみの利用で1日あたりは3000円。これなら日本のローミングサービスを使っても料金は変わらない。ただしこちらはプリペイドなので、誤課金の心配が無い点は安心して使える
- 通信速度は1Mbpsから2Mbps程度。テザリング利用するにはやや心持たない速度だ
以上のことから、このヨーロッパ周遊SIMのメリットは「使い切りの安心感」「各国でプリペイドSIMを買い替える必要なし」の2点だろうか。1カ国の滞在時間が長い場合は現地プリペイドSIMのほうが安上がりになるし、トランジットの連続で滞在時間がちょっとだけ、というときはローミングで最低限のデータ通信だけ行う、というのもよいかもしれない。
陸続きで1日で数カ国の移動も簡単なヨーロッパ、各国で共通で利用できるプリペイドSIMは使い方によっては便利な存在だ。ヨーロッパ渡航する際はこのような周遊SIMの利用も念頭に置いておくといいだろう。
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