サムスン・Galaxy S7 edgeが初速2倍のペースで売り上げ好調――「ハートセブン」の愛称で女子向けアピールが成功:石川温のスマホ業界新聞
サムスンのGalaxy S7シリーズがグローバルで順次発売している。先代のGalaxy S6シリーズでの課題を解決したS7シリーズの売れ行きは好調で、特に韓国では女子向けのアピールに余念がない。スマホ市場の伸び悩みが指摘される中、製品の「見せ方」が重要になりつつある。
サムスン電子「Galaxy S7シリーズ」が絶好調のようだ。
同社幹部によれば「前モデルS6シリーズの2倍のペースで売れている」といい、「すでにS6シリーズの販売実績を超えた」という話もあるようだ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年5月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
GalaxyシリーズはS5でデザイン的に不評を買い、S6シリーズでは大胆なデザイン変更を施してきたものの、「外部メモリー非対応」「防水非対応」といったスペック面で手を抜いた部分があり、Galaxyユーザーからそっぽを向かれてしまっていた。
サムスン電子としては「これ以上、失敗できない」というプレッシャーのなか、S7シリーズを開発。外部メモリーに対応し、防水性能も復活させ、さらにカメラでは「デュアルピクセル」を搭載。バッテリーも3600mAhという大容量を載せ、「欠点のないモデルに仕上げた」(サムスン電子幹部)ことで、人気が復活したようだ。
これまでGalaxyといえば、「ハイエンドモデル」というイメージが強いだろう。過去には、最新スペックをいち早く搭載し、メモリなども充実。「最新のAndroidを安定して使える」という点に定評があった。しかし、OSが成熟し、ハードウェアスペックも違いが出にくくなることで、Galaxyとしての存在感も薄れつつあった。特に日本市場では、ソニー「Xperia」にブランド力で負け、後塵を拝した状態にある。
そんななか、サムスン電子のお膝元である韓国では、これまでのハイエンド路線から脱却し、親しみのあるブランドに方向転換が図られている。
街中にある体験ブースでは「S7」という表記の近くにハートマークを配し、「ハートセブン」として新製品をアピール。
また、韓国では最近になってピンクの本体色が発売されたのだが、ピンクを前面に押し出した体験ブースを設けるなど、どちらかと言えば女子に向けたアピールに懸命になっているのだ。さらに体験ブースには、普段はモデルをしているイケメンを置き、まるで韓国ドラマを連想させるようなイケメンたちの接客で女子を魅了していたりする。
よくよく考えると、最近はアップルが、セサミストリートのキャラクターであるクッキーモンスターを起用し、Siriの利用シーンを訴求するCMを本国・アメリカだけでなく、日本でも放映するようになった。
アップルが、このようなキャラクターを起用したCMを流すというのはかなり異例なことといえるだろう。
ここ最近、スマホ市場の伸び悩みが指摘されているが、メーカーとしてももはや機能やスペック訴求には限界を感じているのは間違いない。
サムスンやアップルといったトップメーカーであっても、体験ブースでハートやイケメンで女子を魅了したり、子供番組のキャラクターに利用シーンを演じてもらうといった、これまでとは違う見せ方でスマホを売っていかなければいけないようだ。
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