コードは世界を変える?――未来を創るApple 4つのプラットフォーム: 神尾寿のMobile+Views(3/6 ページ)
WWDCは「イノベーションとテクノロジーの震源地」である。世界中から多くの開発者が集まり、彼らに向かって「Appleの目指す未来」について語られる。WWDC 2016の会場で何が語られ、どのような未来が示されたのか?
tvOSの進化では、iPhoneとテレビの連携を加速
watchOSに続けて紹介されたtvOSの新バージョンでは、iPhoneやiPadなどiOS機器との連携強化がアピールされた。
「われわれ々は昨年『テレビの未来はアプリである』と話しました。そして(tvOSを搭載した)新型Apple TVを投入したわけですが、その後の進化はめざましいものがありました」(インターネットソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントのエディ・キュー氏)
AppleTVとtvOSの急成長は、数字にも如実に現れている。
まずビデオチャンネルは当初の80から1300チャンネルに急増。多くの専門チャンネルがAppleTV向けに登場し、コンテンツの豊富さという点では、ケーブルテレビや衛星放送を上回った。またtvOSの特徴でもあるアプリにおいては、6000以上の専用アプリが開発されたという。これでもコンテンツはいまだ発展途上であり、今でも続々と新コンテンツやアプリが増えているというのだから驚きだ。
そして今回のtvOSのバージョンアップでは、主に使い勝手の向上の部分で大きく進化する。
iOS向けのリモートアプリは一新され、アプリ上からApple TV用リモコンと同じタッチ操作ができるだけでなく、Siriも利用できるようになる。Siriの部分もさらに機能強化がなされ、65万の映画やテレビ番組が音声で検索できるようになる。なお、このSiriによる音声検索は自然言語によってかなり曖昧な検索が可能になっており、「子どもと一緒に見る80年代のスクールコメディーを探して、といった条件付きの検索ができる」(キュー氏)のも特徴である。
また実用性の面では、ユーザー認証・決済を簡略化する「シングル・サインオン」機能を新たに搭載。有料の映像チャンネル/コンテンツの購入でも、いちいちアクティベーションコードの購入・入力をしなくてもよくなるという。
tvOSは、iOSやOS X、watch OSなどと比べると、若干地味な存在であり、単体で注目されることは少ない。しかし筆者も新型Apple TVを使用しているので分かるのだが、リビングルームのデジタルテレビがAppleの機器やサービスと簡単かつシームレスに連携するというのは、とても心地よい体験だ。他のOSプラットフォームと連携し、それらのユーザー体験を引き上げる存在として、tvOSの着実な進化は重要といえるだろう。
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